ベラルーシ版「ワグネル」がウクライナに参戦か!? 民間軍事会社が傭兵1000人を増強

 ロシア軍によるウクライナ各地への大規模なミサイル攻撃が続いている。ゼレンスキー大統領は18日に公開した動画で、「前線は依然として困難な状況にあり、ドンバスでは最も激しい戦闘が行われている」と、日に日に激しさを増す戦場の苦境を語った。

 そんな中、ベラルーシ国防省が16日、ロシアとベラルーシ空軍による合同演習が始まったと発表。偵察や地上作戦を中心にしたこの演習は2月1日まで続く予定だという。

「ウクライナ側は、合同演習とは名目でロシアがベラルーシの航空部隊を増強、ミサイル攻撃や空爆が激化する可能性が高くなった、として警戒を強めているようです」(全国紙記者)

 これまでにも、出撃拠点は提供するが派兵はしない、というスタンスを維持してきたベラルーシ。しかし、プーチン大統領としては、なんとか同盟国ベラルーシをウクライナに参戦させたいと、ルカシェンコ大統領に圧力をかけ続けているとされる。

 だがベラルーシにも、これ以上西側への刺激は得策ではないとの思惑もあり、そんな中で浮上してきたのが、自国軍ではなく「ベラルーシ版ワグネル」をウクライナへ参戦させるという計画だという。

「この情報は、ドイツ国際公共放送ドイチェ・ウェレが、ベラルーシの反体制派幹部の話として伝えたもので、ベラルーシには『ガルドセルビス』というセキュリティー企業があり、この会社がここ数カ月間で傭兵を1000人規模で増員、ベラルーシ特殊部隊から戦闘訓練を受けているというのです」(同)

「ガルドセルビス」は2020年6月に設立。業務内容は反体制デモの鎮圧や偵察、戦闘行為への参加などで、報道によればルカシェンコ氏から銃器の使用を許可されている唯一の民間企業なのだとか。

「つまり、民間でありながら治安部隊のような存在のようです。一説にはプーチンが『ベラルーシ版ワグネル』を作り出すため、この会社に多額の資金を提供しているという噂もあり、アメリカ財務省によると、プーチン政権と近い存在として2021年12月からアメリカによる制裁の対象になっているといわれます。ドイツメディアの報道が事実であれば、ルカシェンコ氏が民兵組織を使ってウクライナ参戦を企てていることになります」(同)

 AFP通信などによると、激しい戦闘が続くバフムトでは、ワグネルの戦闘員が1000人死亡。うち9割が受刑者で、彼らは完全に「捨て駒」として使われているという。

「ワグネルは規模や戦闘能力ともに別格ですが、実は民間軍事会社というのはアメリカやイギリスなどにもあり、2007年にはイラクでアメリカの軍事会社『ブラックウォーター』が米外交官の護衛のため銃を乱射し、十数人の民間人を死傷させ大問題になったこともあります。ただ戦場では話は別で、貢献すれば称賛され当然報酬も高額になるはず。ベラルーシで“影の軍隊”が誕生する可能性は十分考えられるでしょう」(同)

 過去には反体制デモを強硬手段で鎮圧したという民間軍事会社、ガルドセルビス。ウクライナ参戦の行方が気になるばかりだ。

(灯倫太郎)

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