W杯で盛り上がるカタールでパンダが人気に!中国の「熊猫外交」の裏に資源争奪戦

 サッカーW杯も残すは決勝のみとなった。これまで約1カ月弱にわたり熱戦が繰り広げられサッカーファンを楽しませてきたわけだが、実はほかにもファンを楽しませる存在があった。パンダだ。

「中国とカタールは20年5月にパンダの保護と研究で協力協定を締結。そして今回2頭のパンダが15年期限で貸し出されたのです。10月19日にカタールに到着して、11月20日のW杯開幕直前の17日から一般公開されています」(週刊誌記者)

 さてこのパンダ、現地ではW杯の勝利チームを予想する「パンダ占い」が行われていて、日本戦は的中率100%として日本でも話題になった。中東初というのも当然、耳目を集める。W杯の開催とあわせて両国の友好ムードの演出にも一役買うことになる。いわゆる「パンダ外交」というやつだが、そこは抜け目のない中国のこと、背後には資源獲得競争がある。

 カタールは石油だけでなくLNGの生産も多く、21年まではオーストラリアと輸出量で世界一を争っていた。日本にとっても重要な輸入相手先で、12%をカタールに頼り、カタールにとっても日本は最大の輸出相手先だった。

「日本とカタールは97年に中部電力が世界で初めてカタールからLNGを輸入して以来、資源開発と貿易で緊密な関係にありました。ところが17年にそれが中国にとって代わります。背景にはカタールとの契約条件が転売禁止という柔軟性に乏しいものであることがあって、その代わりに日本もオーストラリアやアメリカのシェールガス由来のLNG輸入を増やしてきたということがありました。そして21年11月には両国の間で長期購入契約が結ばれず、いっぽうで中国が27年にもわたる長期供給契約を結んだことで関係者に衝撃が走りました。すると、直後にロシアがウクライナに侵攻し、世界的にLNG需要が逼迫する事態となってしまったのです」(経済ジャーナリスト)

 欧州はロシア産天然ガスの輸入がストップし、世界的なエネルギー資源争奪戦に入った。日本はカタール相手に高望みをしているうちに中国に間に入り込まれ、最終的には入れ替わられてしまったわけだ。

 その中国は習近平が12月7〜10日にかけてサウジを7年ぶりに訪問。国賓として盛大に迎え入れられて、両国によるアメリカ牽制が目立った。中国は中東でのプレゼンスを上げつつあり、カタールに対してもそのためにパンダが一役買ったことになる。

(猫間滋)

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