北朝鮮で高校生3人「公開処刑」の戦慄!「韓国ドラマ」を見て広めた罪で

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」の試験発射に娘を同行。将来の後継者として、その存在を内外にアピールしたことで、ご満悦な北朝鮮の金正恩総書記。

 一方、北朝鮮では2020年12月、「韓国の映像物流布者を死刑、視聴者は懲役15年刑に処する」という内容を盛り込んだ「反動思想文化排撃法」の制定により、同法による処罰者が後を絶たないといわれる。

 米国の放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」は4日、北朝鮮の両江道の住民消息筋の話として、今年10月初めに中朝国境に近い両江道恵山市の高校で、男子高生2人が韓国映画やドラマ、卑猥映像を視聴。友達にも広めたとして、反社会主義を取り締まる82連合指揮部に逮捕され、もうひとり、継母を殺害したとする男子高生とともに公開処刑された、というショッキングなニュースを報じた。

 北朝鮮問題に詳しいジャーナリストは、「これまで北朝鮮では、未成年者が重大犯罪をおかした場合は、成人になるまで法の執行を猶予するのが通例だった」として、こう語る。

「たとえば未成年者が韓国映画を視聴して摘発された場合、初犯なら労働鍛錬隊からの処罰。再犯だと労働教化所に5年間収監され、該当生徒の両親も『教養義務』を怠ったとして労働教化所収監というのが、これまでの一般的な刑の内容でした。ところが新法の施行以降は状況が一変。特に韓国映画やドラマを流布したり販売して摘発された場合は、たとえ未成年者であっても見せしめ的に死刑に処される可能性があり、今回の例などはまさにそれに当たると思われます」

 韓国の大衆文化を「資本主義の黄色い風」と規定、内部統制を強化してきた金正恩氏。しかし、法律制定後も依然として、北朝鮮国内では韓流がまん延している状況だとみられ、「ラジオ・フリー・アジア」の報道によれば、昨年11月にも咸鏡北道清津市の高校で生徒7人が『イカゲーム』を視聴。109常務連合指揮部の検閲により摘発されている。

「その時も、USBデバイスを中国から持ち込んで販売した住民は銃殺。購入・視聴した生徒は無期懲役。一緒に視聴した生徒は5年の労働教化刑を受けた、と報じられています。しかもこの時期は、新型コロナウイルス感染症防疫のため国境が封鎖されていた最中。そんな中でUSBが国内、しかも学校に持ち込まれたとあり、連座して学校の校長をはじめ青年秘書、担任教員も解職。党員名簿から除名され、炭鉱送りにされるなど厳しい処分が下りました。経路解明まで相当期間、調査と処罰が続いたといわれます」(同)

 ドラマを観ただけで処刑されるなど信じがたい話だが、朝鮮中央テレビは現在中継されるサッカーW杯でも、観客席に掲げられた韓国国旗や韓国企業の広告をモザイク処理するなどして、過剰なまでに反韓思想をむき出しにしていることは事実だ。

 北朝鮮当局にとって12月は今年度の事業決算と来年度の計画が立てられる「総和」という大事な時期で、今回の未成年公開処刑も、それを前にした国民の引き締めを意図していたとの見方もある。それが事実なら、背筋が寒くなるばかりだ。

(灯倫太郎)

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