宮里藍に断られ…五輪女子ゴルフ・服部道子コーチが抱える難題

 五輪・女子ゴルフの担当コーチがようやく決まった。日本ツアー通算18勝の服部道子氏がその就任会見に臨んだが、強化委員会の本命は宮里藍だった。倉本昌弘強化委員長も会見で「遅かったといわれれば否めない」と吐露したように、人選は相当、難航したようである。

「宮里が現役引退を表明した当初から、倉本委員長の本命は彼女でした。家庭の事情、モチベーションなどの理由から固辞し、その後、色々な女子プロにも声を掛け、最終的に服部しかいないという状況になったようです」(ゴルフ専門誌記者)

 宮里が辞退した理由は、個人的な事情だけではないようだ。

 ゴルフ競技に参加する選手は、基本的にプロだ。プロにとっての頂点はオリンピックの金メダルではなく、賞金の出るツアーでの優勝、彼らの栄誉はランキングによって評価される。
 
「服部もプロとしてやってきたので、選手たちの気持ちは分かっているはず」(同前)

 そのせいだろう。服部コーチは候補選手たちに対し、「なんでも話してほしい」と訴えている。自国開催のオリンピックという興味はある。しかし、米国ツアーに重点を置く選手たちのモチベーションがイマイチ上がって来ない現状も分かっているので、「歩み寄って、打ち解けていかなければならない」と思ったのだろう。

「宮里も米国ツアーに重点を置く現役生活でした。自分は賞金の出るツアーに専念し、国内ツアーさえも疎かにしてきたので、『東京五輪に専念しろ、国民のためにも』なんて、選手たちに言えるはずがありません」(関係者)

 また、服部を悩ませているのは、他にもある。五輪期間中の東京の猛暑だ。

「東京の夏は、東南アジアよりも暑いなんて言われ方を、海外ではされています。ゴルフ会場は、日陰がありません。炎天下で集中力を切らさずにプレーし続けるのは至難の業」(前出・専門誌記者)

 そもそも、強化委員会を仕切っているのは、倉本委員長だ。男子の丸山茂樹コーチは倉本委員長の大学の後輩であり、プロに転向してからも親しく付き合ってきた。服部もその一派である。宮里と立場も異なる以上、断りきれなかったというのが真相かもしれない。
 
(スポーツライター・飯山満)

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