プロ野球はオールスター戦を迎え、ようやく今季の折り返し地点と相なった。そこで12球団の前半戦を総括。ケガ人やダメダメ外国人、ベンチ裏での確執など、あらゆる方向からチームに大きな影響を与えた「大誤算」をレポートする。
交流戦でも貯金を上乗せし、セ界首位を独走しつつある巨人だが、菅野智之(29)の調子が、なかなか上がらなかった。巨人番記者が振り返る。
「伯父の原辰徳監督(60)が戻り、気負った部分もあるでしょうが、前半戦だけで昨季の14本を上回る15本塁打を浴び、大量失点ではやばやと降板することも一度や二度ではなかった。加えて、これまで大きなケガもせず年間を通してローテを守り続けてきましたが、さすがに勤続疲労がたまりすぎたようです。5月21日には約3年ぶりに出場選手登録を抹消されました」
絶対的エースに何が起きたのか。ある巨人OBはこう指摘するのだ。
「本人の調子もあるだろうが、不安定な投球が続いたのは、バッテリーを組む小林誠司(30)のリードが他球団から徹底研究されたことも大きい。はっきり言って、配球がバレバレだった局面が何度もあった」
菅野は小林を高く評価しており、これまでチーム首脳が小林に物足りなさを感じて若手と併用しても、菅野の登板時には小林が必ずスタメンマスクをかぶる不文律が存在した。ところが、原監督が「聖域」を破ったのである。
「菅野の休養直前、5月15日の阪神戦で10失点降板したことで見切りをつけたのでしょう。復帰以降は炭谷銀仁朗(31)と組ませています。『小林もリード面において勉強しています。でも銀ちゃんのほうが1枚半上回っている』と、監督は配置転換にご満悦です」(巨人番記者)
効果はテキメンで、菅野は7月2日の中日戦で今季初完封をマーク。「ジャイアンツ愛」ならぬ「小林愛」から自滅状態だったが、巻き返しを見せている。
一方で、原監督のもくろみが失敗したのは、炭谷を除く「大型補強」の惨状を見れば一目瞭然。
「中島宏之(36)は打率1割台に低迷、新守護神と期待したクック(32)も低調で、岩隈久志(38)に至っては1軍登板のメドすら立っていない。全権監督の原さんですが、球団内では『編成まで任せて大丈夫か』という声がある」(球団職員)
さすがの原監督も反省を生かしてか、現実路線での補強策を進めていた。交流戦終了後、中継ぎ強化のために日本ハムとの間で敢行した2対2のトレードだ。
「注目すべきはそのうちの一人、鍵谷陽平(28)です。戦力としてだけでなく、今季飲酒暴行事件を起こしてチーム内で孤立する澤村拓一(31)の精神安定剤として期待されている」(巨人番記者)
原巨人でトレード要員だった澤村は、事件発覚で他球団が獲得を敬遠、不本意にも残留させざるをえなくなったのは週刊アサヒ芸能がスクープしたとおり。しかし、方針転換に打って出たのである。
「手薄な中継ぎ陣の中、復帰後は安定した成績を残す澤村をケアしようと、中央大の後輩で仲のいい鍵谷を獲ったともっぱら。実際、鍵谷が合流してからは、澤村もかなりリラックスして練習に取り組んでいるようです」(巨人番記者)
はたして、優勝から遠ざかった球界の盟主の復活は近いのか。