出会いを求めて三千里。今回の舞台は東京・秋葉原の「メイドカフェ」。チラシ配りのコスチューム娘たちに惹かれたのがきっかけだった。
家電全盛期を記憶している私には新鮮な光景に映るものの、コス娘たちが秋葉原の名物となって久しい。彼女らはアイドルの卵、いわゆる地下アイドルでもあるらしい。スタイルがよくて笑顔も素敵なのはさもありなんといったところだ。お店の宣伝目的ゆえに、彼女らの親世代よりも年齢が高い、私のようなアラ還にもフレンドリーに話しかけてくれる。
ここで改めて、秋葉原の現在の勢力図をおさらいすると、大きく3つに分かれている。1つ目は、ヨドバシカメラを中心とした一般客&外国人客の多いエリア。2つ目は、ドン・キホーテ及びAKB48劇場を中心としたエリア。3つ目は通称〝ジャンク通り〟と呼ばれるパソコンショップが点在するエリアだ。
チラシ配りのコス娘たちが目立つのは3つ目のエリア。1車線分の車両がやっとすれ違うような狭い道幅の通りの両端に肌も露わなコスチュームで立っている。そんな状況下で、両端から視線を感じながら平常心で歩くのは、私のような煩悩の塊には無理な話。
つまり、出会いを求めるにはいい機会というわけで、女の子に誘われるままお店へと案内されることにした。ちなみに、平日は彼女たちの姿はほとんどないため、土日祝日に行くのがいいだろう。
私が行ったのは日曜日。ピンク店ではないため、実際の接触はないとはいえ、できればいちばんビジュアルがいい女の子にエスコートされたいと思いつつ、彼女たちが立ち並ぶ〝花道〟を何度も往復。最初はパソコンショップに来ただけみたいな雰囲気で歩いたが、2回目の往復ではじっくりと物色。3回目では途中で立ち止まってさらに物色。4往復目でついにデビル風コスチュームの女の子に近づいた。
全身黒ずくめ。頭には黒いツノが生えていて、背中には黒い羽根があり、首にはアクセントの真っ赤なリボン。顔立ちや佇まいは上品で、友達に頼まれてチラシ配りのバイトをしているようにも見えた。
「この先のお店です。日曜日はキャンペーンでセットが半額になってます。よろしかったらどうぞ♪」
彼女らを物色しながら4往復した怪しい私にも癒やし系の笑顔を見せてくれる。そして案内されたのは〝ジャンク通り〟から少し離れたメイドカフェ。日曜日とあって店内は激込み。しかも客の半数は私のような中高年世代。若者ばかりだったらどうしようと思っていた私の緊張がややほぐれる。
そして、私が年甲斐もなく注文したイチゴパフェを持ってきてくれたのは一般的なメイド服姿の女の子。ここでお店のコンセプトにも関係するパフェの説明がメイドさんからなされた。
「悪い悪魔に連れてこられたかわいそうな男性を私たちが愛の力でお救いします! 私たちの体の一部から育成した、この萌えイチゴを食べていただければ、元の世界に戻ることができます!」
どうやら私は悪いデビル風コスの娘 に連れてこられて軟禁されている状態らしい。またメイドさんは、私がイチゴを食べるまでじっと見つめてくるため、緊張感に耐えきれなくなる。
「実は私ね、出版社でライターやってるんだよ」と、聞かれてもいないのに大口を叩いてしまっていた。
「ライター?‥‥そうなんですね♪」というやり取りがあったあと、別の女の子が伝票を持ってきた。
「ライターって何?」「知らな〜い」と女の子ふたりの小声の会話が耳に入る。直後、パフェを持って来た女の子が、ひらめいたとでも言いたげに、
「キャンドル用のライターあるんですけど、お店、禁煙なんです。ごめんなさい」
と満面の笑顔。この笑顔と、デビル風コスチューム娘の笑顔だけで来た甲斐があったかもしれない。
熟年女性とのまったりした出会いもいいが、時に若い女性との刺激を求めたい方にはオススメだろう。
【データ】
出費:飲食費2500円(パフェ+ドリンクのセット)+交通費
女性:デビル風コスチューム娘
下半身具合:下半身は満たされないが脳の活性化にはいいかも!
総合:☆☆☆☆(5段階評価で4)
モーリス輪島:派遣労働とわずかな昭和ネタ執筆で生活する60歳。生活費を削ってまでも出会いにつぎ込むストロングスタイルなナンパに定評がある。
*写真はイメージです。