旧統一教会の問題で「後出し」連発の山際大志郎・経済再生担当大臣が辞任したのは25日のこと。本来であれば国会が始まる前にクビにすべきだったのだが、あまりに遅きに失した“解任劇”となった。
「あれだけ反対の多かった安倍元首相の国葬を断行してやらなくていいことをやったかと思えば、すぐにやるべき山際大臣の首切りが出来ない岸田首相の決断・実行力には誰もが疑問を持つところ。となれば野党としては格好の攻め時なのですが、あろうことか立憲民主の泉代表と共産党の志位委員長がSNSで罵り合いをしている始末。こちらも足並みが全然そろっていません」(全国紙記者)
どういうことか。立憲の泉代表が10月21日、憲法改正で日本維新の会と同調できる余地があるといった趣旨の発言を講演で話したのだが、共産党の志位委員長がこれに目をつけてツイッターで「とんでもない考え違い」だとクサしたのが事の始まり。すると泉代表も黙ってはおられず、やはりツイッターで「ずいぶん見当違いな認識と批判だ」とやり返したのだ。
そもそものきっかけは9月28日に立民と維新が結んだ「国会内共闘」にある。両党は今臨時国会で共通する政策6項目の実現に向けて手を結ぶとの取り決めを結んだ。中でも憲法審査会での議論に立民が応じることも含まれているため、「護憲」を掲げる共産党としては、はなはだ気に食わなかったのだろう。
「共闘には維新の松井一郎前代表もいたくご執心で、地元大阪では維新の府議団が共闘に断固反対の意見を表明していましたが、松井前代表はこれを『幼稚だ』とまで言って切り捨てたくらいです」(同)
そもそも現在の立民の泉体制は、共産党との選挙協力を強力に推し進めたものの、結局は野合と映って失ったものが多かった割には得るものが少なかった前の枝野幸男体制の見直しから始まったから、維新との共闘は柔軟な路線を目指すということの表れだろう。ところが共産党にしてみれば、もともと維新とは水と油だし、選挙協力の枠組みが崩れれば、選挙での議席確保でのそろばん勘定も狂うというもの。
だから今回の罵り合いは共産党の横恋慕ということなのだが、そんなものは誰が見てもみっともないと思うもの。それに応じる泉代表も泉代表で、政権の最大の攻め時に内輪モメという、結局は大局観の欠如だけが残るのだった。
(猫間滋)