ケンタッキーが「サンド」の名称を「バーガー」に変更した苦肉の策の裏事情

 日本ケンタッキー・フライド・チキンは、「チキンフィレサンド」などでこれまで使用してきた「サンド」の名称を「バーガー」に変更すると発表した。1983年の発売からおよそ40年親しまれてきた名称を今になって変えた理由とは?

「10月11日に行われた記者会見では、名称変更に加えて『チキンフィレバーガー』と『和風チキンカツバーガー』の既存商品に『辛口チキンフィレバーガー』『チーズチキンフィレバーガー』『ダブルチキンフィレバーガー』の3商品が新たにラインナップに加わることも発表されました。同社によれば、ケンタッキーのサンドの認知度は48%以下と半数を下回っており、『お客様に十分認知をいただけていない状況』だったといいます。そのため、『皆さまにもっとこだわりの商品を楽しんでいただくため』より商品をイメージしやすいバーガーに変更したと説明しています」(フードライター)

 判治孝之社長によると、「ケンタッキー発祥の地・アメリカでは、『ハンバーガー』というと牛肉や挽肉をパティで挟んだものしかハンバーガーと言わない」とのことで、チキンを使用していることから、これまではアメリカに合わせてサンドの名称を用いたと説明。しかし今回、それを大転換させるというわけだ。

「コロナ禍のテイクアウト需要で絶好調だったケンタッキーですが、2022年4月〜6月期の連結業績では営業利益が2100万円にとどまり、前年同期の14億3100万円から98.5%減になっていたことが明らかになっています。これは、小麦粉や食用油などの原材料費が高騰したこともありますが、まん延防止等重点措置が解除され、テイクアウト以外の飲食店に客が流れたことも原因と見られています。また、最近ではからあげ専門店の閉店ラッシュが起こるなど、からあげやフライドチキンブームも下火になりつつあり、ケンタッキーとしてはフライドチキン以外のメニューも主力に押し上げたいという思いもあるのでしょう」(経済ジャーナリスト)

 名称を変更した効果に期待したい。

(小林洋三)

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