「ケンタッキー」木製スプーン導入でプラスチック削減表明も「根本的疑問」が浮上

 日本ケンタッキー・フライド・チキンは10月17日、店舗で使用するカトラリーの一部をウッドスプーン(環境配慮型)に順次切り替えると発表した。SDGsに向けた取り組みの一環なのだが、なぜかネット上には疑問の声が‥‥。

「同社によれば、現在使用しているプラスチックスプーンとプラスチックフォークを2023年4月末までに国内全店で廃止し、ウッドスプーンに切り替えるといいます。これまでもドリンクのプラカップの廃止やマドラーを木製に変更するなどプラスチック削減への取り組みを行ってきましたが、ウッドスプーンを新たに導入することでプラスチック使用量をさらに年間80.6トン削減できるとのことです」(社会部記者)

 ただ、これにネット上では《プラスチックがそんなに環境に悪いのだろうか。そして、ウッドスプーンはそんなに環境にいいのだろうか。森林伐採も環境破壊になるのでは?》《ちょっと前に森林伐採が大きな問題となって日本の割り箸がそうとうバッシングされたと記憶している。今はプラスチックが問題になっているから、森林伐採はどうでもよくなったのだろうか》《このスプーンの原材料はどういった理由で伐採された木なのでしょうね? 環境配慮型って言われても、どう配慮されているのかまったく分からない》といった指摘が相次いでいるのだ。

「00年代には割り箸による森林伐採で大量のCO2が排出されると問題になり、マイ箸を持つことが推奨されていたので、その頃を知る人たちにとっては使い捨てのウッドスプーンに抵抗感がある方もいるでしょう。もちろん木製だから全てが悪いというわけではなく、国産の間伐材を使うのか中国産のものを使うのかなどでも環境に与える影響はまったく違います。最近ではマクドナルドが紙製ストローを導入するなど各社SDGsへ積極に取り組んでいますが、今回のケンタッキーのようにウッドスプーンを導入したことでプラスチックが年間80.6トン削減できるとアピールするのものの、代わりにどこの木材を使用し、それにより森林がどれだけ伐採され、どれだけのCO2を排出するのかは説明されません。それでは本当に環境に配慮されているのか利用者は判断が難しいのではないでしょうか」(フリージャーナリスト)

 SDGsへの取り組みがパフォーマンスととられないよう、しっかりとデータを提示することも必要なのかもしれない。

(小林洋三)

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