これまで2万人以上が志願したと言われているウクライナの外国人義勇兵。母国で軍隊に在籍していた者や傭兵経験者などが数多く集まり、開戦直後の劣勢からロシア軍を同国東部に押し返す重要な戦力となっている。
なかでも各国メディアがこぞって取り上げたのがスナイパーの存在。現地ではロシア軍の将官、佐官が次々と狙撃され、その一部を担ったとされるのが彼らだ。そのうち最も注目を集めたのは、“世界最高峰の狙撃部隊”と謳われるカナダ陸軍「王立第22連隊」元隊員の通称「ワリ(Wali)」。戦場での実績も豊富で、世界の上位5傑に入るスゴ腕スナイパーと報じた海外メディアもあった。
当時はすでに軍役を退き、IT企業に勤めていたが、ウクライナの惨状を救うべく会社を辞めて義勇兵として参加。だが、その後の動向はほとんど報じられることがなかった。
「実は、2ヶ月ほどで帰国しており、期待された戦果はほとんど挙げることができなかったようです。開戦直後だったこともあり、ウクライナ側の義勇兵の受け入れ態勢も万全とは言えず、腕利きのスナイパーが揃っていても配属された部隊によっては狙撃のチャンスがほとんどなかったと聞いています。いくらワリでもこれでは大した働きができなくて当然です」(軍事ジャーナリスト)
一度は戦場を離れたワリだが、9月に入って再び義勇兵として参戦するためにウクライナへ。しかし、前回3月のように大々的に報じるメディアはなく、日本ではニュースにすらなっていない。
「ネット上では《期待倒れ》などの批判的なコメントも見かけますが、彼が居るだけで部隊の士気は上がります。それに現地にはウクライナ人の若い軍人も多く、彼らにとってはまさに生きた手本。指導者としての役割も求められているのかもしれません」(同)
そもそもスナイパーは日陰の存在で、彼らの活躍が報じられることのほうが珍しい。我々が知らないだけでウクライナ軍にとっては重要な存在なのかもしれない。