「非課税世帯に一律5万円」は高齢者へのバラ撒きだ!「働いたら負け状態」の声まで

 9月20日、政府は物価高騰と新型コロナウイルスへの対応として、今年度予算の予備費から総額3兆5000億円の支出を閣議決定した。これは低所得の住民税非課税世帯に1世帯当たり5万円を給付するための9000億円が含まれるが、ネット上では不満の声が相次いでいる。

 岸田文雄首相は9日に「住民税非課税世帯に対し、当面の電力・ガス料金、食料品価格等の高騰に伴う影響額を考慮して1世帯あたり5万円を給付し、ご負担を軽減致します」と表明していたが、その財源が今回の閣議決定で確保されたことになる。なお、非課税世帯には今年すでに新型コロナウイルスに対する臨時特別給付金として1世帯あたり10万円が支給されている。

 3兆5000億円からは非課税世帯への給付のほか、ガソリンなど燃油補助金の継続や自治体が病床を確保する際に使う交付金などに活用されるというが、課税世帯へは特別な優遇措置はなく、ネット上では《物価高で生活に影響が出ているのは非課税世帯だけではないはずなのに、いつも対象は税金を支払っていない非課税世帯では文句の一つも言いたくなる》《これこそまさに働いたら負け状態。非課税世帯の方が手厚く扱ってくれるもん》《生活は苦しいけど頑張って働いて子育てして、納税までしてるシングルマザーが対象外で、たっぷりと貯金もあって年金ぐらしをしている高齢者にばかりが給付されるとか狂ってる》など怒りと落胆の声が多く見られる。

「住民税が非課税の世帯は貧しいというイメージがあるかもしれませんが、『国民生活基礎調査』によると、非課税世帯の72.5%が65歳以上の高齢世帯で、その多くが年金生活を送っているのです。もちろん、年金だけでは生活が苦しいという方もいるでしょうが、21年度版の『家計調査報告』によると、60代の2人以上の世帯の貯蓄は2323万円と最も多く、70代以上は2232万円で60代に次ぐ多さとなっている。それにもかかわらず非課税世帯というだけで給付を実施するのですから、『高齢者へのバラマキ』と捉えられてしまうのも仕方ないかもしれません」(経済ジャーナリスト)

 給付するのであれば、非課税世帯にばかり手厚くせず、全国民に一律で配った方がいいのではないだろうか。

(小林洋三)

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