高齢ドライバーによる重大事故の多発を受け、昨年6月に改正道路交通法が成立してから1年半。警察庁が12月16日、来年5月から導入する安全運転サポートカー(サポカー)限定免許で運転できる車の条件などを盛り込んだ施行規則案を発表した。
限定免許の対象となるのは、自動ブレーキと、アクセル・ブレーキのペダル踏み間違いによる急発進を防ぐ装置を備え、国交省から性能認定を受けた車。または、今年11月以降、自動ブレーキに関する保安基準を満たした車のいずれかで、12月現在、国内メーカー8社の約300型式が対象となる見通しだ。
「ただし、自動ブレーキの装置などを後付けした車は運転できず、国交省から性能認定を受けた車となると、昨年度以降に製造された車に限られてしまうため、この免許で運転できるのは、普及している車の一部に限られます。すでにサポカー補助金を受けて購入した車が適合しない、ということも考えられるので注意が必要です。しかも、限定免許で適合車以外を運転した場合は免許条件違反となり、違反点数は2点となるため、レンタカーはむろん、第三者の車も運転できなくなるデメリットもある。はたして、この限定免許がどこまで普及するかどうかは未知数ですね」(モータージャーナリスト)
さらに、今回の改正道路交通法では、75歳以上で過去3年間に速度超過や信号無視などの違反歴がある高齢ドライバーに対し、来年5月から免許更新時に運転技能検査(実車試験)が義務化された。
運転技能検査は、運転免許センターや自動車教習所のコースなどで、普通自動車を使って実施され、採点は検査員により100点からの減点方式が採用され、100点満点で70点以上が合格。逆走と、信号を無視して横断歩道に入った場合は40点の減点のため一発不合格になるというが、
「技能検査は免許有効期限の6カ月前から何回でも受検できるため、高齢者とはいえ、車がなければ生活できないという人の中には、合格判定が出るまで受け続けるというケースも出てくるはず。それでも、合格できなかった場合は、運転免許を更新はできないものの、希望すれば、生活に必要な原付きバイクなどの免許は維持できます。そこもまた、何度も技能検査に落ちている高齢者に、原付とはいえ免許を与えていいのかという問題もあり、まだまだクリアすべき問題が多いという印象ですね」(前出・ジャーナリスト)
報道を受け、世間の関心が高いのか、SNS上には《半年間検査を受け続けて合格、なんて人に免許を与えることになったら怖いが》《サポカー限定免許も技能試験も、高齢者の免許更新時の条件にしたらいい。その方が高齢者マイカーの買い換えが進み、普及促進になるはず》《免許更新時の認知機能や運動機能テストの結果で強制的にサポカー限定にできるようにしないと、誰も乗り換えないんじゃない?》《高齢者の事故防止にはやはり車を進化させるべき!GPS機能と前面画像を組み合わせて逆走していることを通知し、自動ブレーキ掛ける機能も追加してほしい》といった議論が百出している。
ともあれ、改正道路交通法の施行によって、高齢者ドライバーによる悲劇が繰り返さなれないことを願うばかりだ。
(灯倫太郎)