“リーゼント刑事”秋山博康「現場で山上容疑者の所持品検査をするべきだった」/ガタガタ言わせろ!(1)

 おはようさん! リーゼント刑事こと秋山博康です。アサヒ芸能さんのこの企画には初めて出させてもらうので、ワシ定番の挨拶を先にさせていただきましたよ!(笑)。

 2021年に警察を定年退職し、今は犯罪コメンテーターとして活動しているので、初回はわかりやすい犯罪ネタを語りましょう。「元総理の、安倍晋三氏銃撃事件」について。

 ワシは42年間、徳島県警で働き、31年間、刑事としてごはんを食べさせてもらったから、奈良県警を含め警察の悪口は言いたくない。でも、あの事件はワシら経験者から見れば警護が甘すぎる! 率直に言えば、警護側が平和ボケしていた。「そんなことが起きるわけがないだろう」という「まさか」を見逃してしまったんだろうな、と。その「まさか」を見落として、最悪の事態を招いてしまった。警察官は国民の生命、身体、財産を守ることが役目だというのに。ニュース速報を見た時はつらいのと「ワシが警護していたら、守れた命だったのに」という、悔しさと怒りがない混ぜになった。電車で移動中だったけど、Yahoo!ニュースの公式コメンテーターとして、即スマホで見解を書き込んだ。

「ワシなら安倍さんの命を守れたのに」という意見は、決して自分の経歴をおごり高ぶっているからではない。SP(セキュリティーポリス)たちが山上(徹也)容疑者に職質しなかった現実を映像で観て悔やみ、怒りに満ちている関係者は、ワシだけではないと思うから。

 警察官は、「不審者と不審物をいち早く発見する」のが最重要任務。

 捜査の基本は、不審物より不審者発見のほうが先。当日の映像を観て、改めて山上容疑者が怪しい動きをしていると感じた人は多いのでは? ワシなら絶対に職質してる。聴衆は、安倍さんの演説に聞き入っていたでしょう。でもアイツは演説など聞かず、目を泳がせ続けていた。殺すタイミングだけを計っていて、演説にはからきし興味がなかったんだよ。

 殺人を既遂したいから、未遂では目的を達成できない。だから、実行前に捕まったらいかん!という気持ちで現場にいたわけ。警察官に不審者と判断されたくないから、目をキョロキョロと泳がせて、周囲の視線から逃れていた。

 ワシなら山上容疑者を見つけたら、「おい、ちょっとこっちに来い」と呼び寄せて、所持品検査をしていた。動きが怪しい上に大きめのカバンを持っているということは、凶器を隠し持っている可能性があるということ。検査していたら、完全に防御できていたはず。

 昨年の10月末に起きた、「京王線刺傷事件」や万引き犯も同じ。凶器や、会計を済ませていない品物を隠し持つために、カバンが必要になる。そこで不審者だと感じたら、警察官は必ず職質しないといけない。

秋山博康(あきやま・ひろやす)タレント。1960年7月8日生まれ、徳島県出身。通称「リーゼント刑事」。元・徳島県警捜査一課刑事。現役時代、「警察24時」などのテレビ番組に出演し人気に。現在は犯罪コメンテーターとして活躍。

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