リーゼント刑事が「犯罪捜査の裏側」を語り尽くした【3】動画撮影は犯罪捜査の助けになる

 警察人生の大半を犯罪捜査に捧げ、最後の8年間は管理職として後進の指導にあたった。

「警察官に努力賞はない。0点か100点しかない。これは初めて部下ができた頃からの口癖で、いくら努力しても犯人を捕まえなければ意味がないんです。これは自分にも言い聞かせてきました」

 昨年3月31日、定年退職したその夜に上京した。

「愛する女房を徳島に置いて、片道切符の単身赴任ですよ。所属先もコネも何もない。裸一貫からのスタートでした」

 ちょうど1年後の3月31日には初の著書「リーゼント刑事 42年間の警察人生全記録」(小学館新書)を上梓したばかり。

「42年間、徳島の治安を守ってきたので、第二の人生は全国の国民のために尽くしたい。警察の不祥事が出るたびに、お偉いさんが頭を下げますけど、9割9分の警察官はかつての自分のように、心血を注いで頑張っているんです。そうした警察官の代弁者でもあり続けたい」

 ワイドショーではコメンテーターとしても活躍。話題の事件を独自の視点でブッタ切るYouTubeチャンネル「11時09分、現逮じゃ!」は5万人以上の登録者数を誇る。犯罪撲滅への意気込みは現役時代となんら変わることはない。

「暖かくなって薄着のシーズンになると、わいせつ犯罪が増えていくもの。ただ、不届きな輩を目にしても、犯人を捕まえようなんて思ってはいけません。身の安全を確保した上で、お願いしたいのが動画撮影。先日、水上バイクで危険な運転をした男が殺人未遂で書類送検されましたが、立件できたのも動画があったからこそ。『あいつ危ないな』と思ったら、動画を撮影してほしい。勇気ある行動が犯罪捜査の助けになることを知ってほしいですね」

 リーゼント刑事の闘いはこれからも続く。

*「週刊アサヒ芸能」4月14日号より

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