朝の情報番組では圧倒的な強さを見せる「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)。牽引しているのはキャスターを務めるフリーの羽鳥慎一アナウンサーと、ただ1人のレギュラーコメンテーターである同局社員の玉川徹氏だ。
歯に衣着せぬ発言でご意見番的存在の玉川氏。特に2020年から始まったコロナ禍では連日のように専門家らとともに未知の危機感を強調し、視聴者を釘付けにした。その効果もあってか、同番組は2021年の年間平均視聴率が個人全体5.6%、世帯10.6%を記録し、2年連続横並びトップとなるとともに、5年連続年間民放トップとなった(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
9月6日発売の「フラッシュ」で大手広告代理店が調査した「好きな・嫌いなコメンテーター」ランキングを発表。期待される玉川氏の評価は「好きな」はランク外、「嫌いな」では2位だった。「自信家なのか、いつも上から目線」「この人がまっとうな意見を言っても、胡散臭く感じる」などと酷評だ。
コロナについても専門家を押しやるほど持論を主張することもあるが、そんな強気な姿勢が敬遠されたのかもしれない。嫌われても視聴率が高ければ、注目されている証であり、局としても問題はないはず。
だが、8月17日配信の「週刊女性PRIME」が、「モーニングショー」のCM枠が売れないと報じた。50代以上には支持されるが購買意欲が高い若者層に人気がなく、CM枠が高く売れないというのだ。その一因は玉川氏にあるという。たとえば、玉川氏はコロナに対して慎重論を主張しており、健康第一と考える年配者は賛同するが、アクティブに動きたい若者は敬遠。また、玉川氏は反権力に回ることが多いが、近年は若い人ほど自民党支持の傾向が強いことも視聴者の若者離れにつながっているという。
玉川氏には耳の痛い話だが、CM枠の問題をクリアにしないと将来設計も狂いかねない。
「玉川氏は今年4月の『モーニングショー』で退社まであと1年であることを明かしました。また、21年3月放送の同番組では、60歳の定年後も『需要があれば、この仕事を続けさせてもらいたいと思っています』と、『モーニングショー』続投に前向きでした。ただ、CM枠の問題がありますし、玉川氏に限らず、コメンテーターにも〝賞味期限〟があります。反権力や危機を煽るだけのコメントでは定年後の続投や、新規開拓は難しいかもしれません」(テレビ誌ライター)
定年後も安泰か、それとも茨の道か。
(石田英明)