小沢仁志「霊のいる場所をロケ地に選ぶな!」/ガタガタ言わせろ!(1)

 言いたいことも言えない世の中に炎上覚悟で物申す好評連載、第2回はVシネマの帝王として君臨し、〝顔面凶器〟と呼ばれるルックスで独特の存在感を誇る、小沢仁志氏(60)が登場。彼が思わず「説教した」相手とは─。

 実は俺、霊感が強いんだよね。気づいたのは30歳ぐらい。霊感が強いヤツと一緒にいると「憑(つ)かれる」って説があるんだけど、当時付き合ってたのが霊感の強いオンナでさ。俺も霊を感じる体質になったみたい。霊の姿形がハッキリと見えるわけじゃないんだ。「黒いモヤッとしたものがいるな」とか、「この場所は悪い〝気〟が流れまくって気味悪いから、早く出たい」と感じるとか。

 見えたところでまったく怖くないけど、自分からあえて心霊スポットには近づかないようにしてる。大勢の人が命を落とした、合戦場跡地にも〝念〟が残ってるから行かない。後ろから、絶対に人間じゃないものにジーッと見つめられる気配がするとか、面倒だから。

 霊には怒らないけど、あえて怒るとしたら、スタッフが霊のいる場所をロケ地に選ぶこと! 山梨県の甲府に、必ず〝出る〟ビジネスホテルの廃墟があるんだよ。元ホテルだから、撮影が終わるとみんなで泊まるわけ。俺も一度だけ寝たんだけど、出るわ、出るわ。ぼんやりとして輪郭はつかめなかったけど、赤い襦袢を着ているようなオンナの霊や、甲冑を身に着けたオトコの霊が通りすぎる。窓を閉め切っていてもカーテンがフワフワ揺れたり、窓をバンバン手で叩くような音がしてうるさいから、霊に説教しちゃったよ。

「勘弁してくれよ。俺は明日も撮影があって寝たいんだから、お前らをかまっていられない!」って(笑)。以来、甲府に行くと、1人でサウナに宿泊してる。

 俺らみたいな芸能関係やスポーツ選手のような人気商売に就く人間は、生き霊に取り憑かれやすいのも悩ましいところ。「あの役は自分が適役だったのに、なぜアイツが」とか、「あいつがいなければ今頃、自分はレギュラーだったのに」という、恨みや妬みを買いやすい職業だからさ。

 生き霊を飛ばされていることに気づかないと、仕事に悪影響を及ぼしかねない。役者であれば、作品が大コケするし、現場で事故が起きやすくなる。しかも、生き霊が憑くと俺はカラダが絶不調になるから、すぐ気づくんだよね。誰が飛ばしてるか、見当もつく。

 数年前に、息がしづらくなって倒れてしまった時のこと。当初は酒の飲みすぎで膵臓か肝臓がヤラれていると思って病院へ行ったら、問題ナシ。原因がわからなくて4つの病院を回って脊髄も調べたけど、異常は見つからず。それで「生き霊を飛ばされた」と思い当たり、相手に連絡したんだよね。「飛ばしてきた生き霊を戻すから、用心しておけよ」と。結果、相手は仕事前に倒れて救急車で運ばれて、即入院。聞くところによると、生き霊を飛ばした本人は、戻されると10倍返しで被害を被るらしい。

 今、俺が心配してるのは、原田龍二と本宮泰風兄弟。アイツら霊に鈍感なくせに、YouTubeで有名な心霊スポットめぐりをしてるんだよね。スピリチュアルな感覚が研ぎ澄まされた人と一緒に。「お前らアホか! スピリチュアル系の人間に憑いたら、すんごい強烈な悪霊を連れて帰ってくるぞ!」と釘を刺したけど、いまだに続けてる。

 悪霊は、ジメッと湿った場所を好むんだよね。もし自宅へ連れて帰ってしまったら、窓を全開にして空気を入れ替える。そして、部屋の中心と水場近くに粗塩を盛って、線香を焚く。悪霊がいると、粗塩がみるみるうちに溶けていくんだよ。

 それでも効かない時、俺は日本酒一升瓶と粗塩1袋をぶち込んだ水風呂に、頭から浸かる。一度だけやったけど、カラダが軽くなって効果を実感した。

 悪霊に家を占拠されるなんて、迷惑な話だよな。特に精神的に弱っている時は、憑かれやすいらしい。

小沢仁志(おざわ・ひとし):俳優・映画監督・プロデューサー。1962年6月19日生まれ、東京都出身。「日本統一」シリーズなど映画やドラマで活躍。YouTubeチャンネル「笑う小沢と怒れる仁志」ではVシネ裏話など配信中!

*「週刊アサヒ芸能」9月8日号掲載

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