衛星写真を手掛かりに、人里離れた一軒家を捜索し、住人の生活ぶりや半生を追うドキュメントバラエティー「ポツンと一軒家」(テレビ朝日系)。18年にレギュラー化してから高視聴率をマークして人気番組になったが、7月31日放送回では、視聴者からまさかの間違いを指摘する声が相次いだ。
今回、番組で取り上げたのは静岡県の山奥に建つ一軒家。衛星写真を見ると、清流のすぐそばに建っていることから、出演者からは「染物工房ではないか」と指摘する声も出ていた。
取材班が周辺住民への聞き込みをヒントに現地へ向かうと、そこに住んでいたのは70代と80代のSさんご夫婦。およそ30年前に別荘として購入し、定年退職を機に引っ越してきたという。
この家の特徴はなんといっても清流沿いというロケーション。かつて鮎の稚魚が放流されていた頃は、仲間内で鮎漁を楽しんでいたという。現在も多くの魚が生息しているようで、家のすぐ前で釣り糸を垂らすと、ものの10秒ほどでアブラハヤを釣りあげていた。
捜索隊が取材をしていると、そこにやってきたのがSさんの遊び仲間。ディレクターを含めて3人で下流の河原へと向かう。「捜索隊にぜひ見せたい魚がいるというのだ」とナレーションが流れ、Sさんは河原で「ヤマメおる、あの波の上」と語り、ヤマメの生息地であることを説明。
すると、テロップでは「山女魚」「渓流の女王」と解説し、Sさんはタモ網を手に川へと入った。最初のポイントでは捕獲できなかったものの、次に向かった小さな滝があるポイントではみごとタモ網ですくい取って見せた。
これにはMCの所ジョージが「いいね〜。70、80のおじいちゃんがヤマメ取って遊んでるよ」とコメント。番組ナレーションはSさんの技術を「まさに名人技。ものの1分足らずで狙い通りヤマメを捕まえた」とたたえ、「パーマークと呼ばれる小判模様が輝くその姿は渓流の女王の名にふさわしい美しさだ」とヤマメを紹介した。
その後、Sさんのご厚意により、捜索隊のディレクターにヤマメの塩焼きがふるまわれ、番組では「滅多に市場に出ることのない貴重な高級魚だ」と紹介。捜索隊の男性は「美味しい」と頭まで食べていたのだが…。
SNSでは《ヤマメって紹介してたけどアマゴでしょ》《赤い斑点があるからアマゴでは?》《アマゴのことをヤマメって言ったらまずくないか》《所さんでも区別つかなかったか…》と番組のミスを指摘する声が続出。確かにVTRを改めて確認すると、魚体には目印となる赤い斑点が浮き上がっていた。
とはいえ、ポツンの住人であるSさんは捜索隊員をヤマメでおもてなししようと、体を張って捕獲に臨んだ。その厚意を考えると、番組側としても、「それはアマゴですよ」と間違いを指摘できなかったに違いない。