新型コロナウイルスの“第7波”が猛威を振るっている。7月23日には全国の新規感染者が20万人を超え、1日当たりの過去最多を更新し、大阪府の新規感染者は2万2501人に達した。
この緊急事態を受けて、大阪府の吉村洋文知事が7月24日放送の「日曜報道 THE PRIME」にリモート出演。濃厚接触者の待機期間の廃止を訴える中で、二度にわたって「ワニの口が開く」と発言。一部の視聴者からは《たとえがわからん》《経済用語でしょ》といったツッコミの声が続々と寄せられている。
番組では、濃厚接触者の待機期間について海外の事例を紹介。アメリカではワクチンを3回接種した人間については「待機なし」として、「10日間のマスク着用を勧める」にとどまっている。
吉村知事は待機期間を廃止すべきとして、「自宅で隔離するというのは違うだろ、と思っています」と持論を展開。医療現場と待機者の関係について、「医療需要がいま増えていますが、医療従事者の方が陽性者になったり濃厚接触者になって、そこで仕事ができないという現象が生じています。つまり医療需要は増えているのに、逆に医療で働く人の数は減っていく。ワニの口が開くような形になっています」と語った。
その後、沖縄で医療従事者の休職者が7月23日時点で過去最多の1193人にのぼっていることに触れ、またしても「ワニ発言」が飛び出した。
「原則、ルールとして『待機は5日』というのがありますから、基本的には待機している場合が多いです。ですので現実的にこの医療従事者の中で濃厚接触者が待機をする。そして、医療の人材がですね、医療現場で働けなくなってしまう。でも一方では医療需要がものすごく、発熱外来、入院含めて増えていて、ワニの口が開くような状態になって、(医療)ひっ迫度が増す、というのが現実だと思います」
そのうえで、「濃厚接触者=自宅待機」というルールを改めるよう求め、濃厚接触者でも症状が出ていない限りは、「マスクをしたり、警戒をしてリスクを下げて仕事をするということをやらないと」と発言した。
「一般的に『ワニの口が開く』という表現は、国の税収と歳出のバランスを示す際に使われる言葉で、2つを示した折れ線グラフがまるでワニの口のように見えることから定着しました。最近では日経平均とNYダウ、日本の株価と実体経済の乖離を示す際にも使われています。吉村知事は医療需要が増えているいっぽう、医療現場で働ける人員が減っているという状況を『ワニの口が開く』と表現したかったようですが、経済にうとい視聴者にはややわかりにくい表現だったかもしれませんね」(経済誌ライター)
7月24日までに大阪府の新型コロナによる死亡者数は5262人で東京の4621人を上回る。大阪モデルでどうやって“ワニの口”を閉じるのか。独自の政策に注目したい。