プーチン次女の要職就任は「権力継承の準備」か…英メディアが示唆

 やはり、水面下ではプーチン大統領の後継者選びが進んでいたのだろうか。

 現地時間の13日、「ザ・タイムズ」誌など複数の英メディアが、プーチン大統領の次女として知られるカテリーナ・チホノワ氏(35)が、「ロシア産業企業家同盟(RSPP)」の新たな役職に任命されたと伝えた。

 RSPPとは、ソビエト連邦末期の1991年にロシアの企業家、実業家などで作られた公共組織で、100以上の団体に所属する32万以上の企業から構成され、国内総生産に占める割合が60%に達するという、日本でいう経団連に相当する組織だという。

「ニュースソースはロシアの経済誌『RBC』なんですが、同誌によれば、チホノワ氏が就任したのはRSPPで輸入代替の取り組みを調整する委員会の共同議長。これは対ロ制裁による影響を乗り切る目的で組織されたセクションだといわれています。実際、彼女自身もプーチン氏の家族として、資産移転などの制裁の抜け穴を封じる狙いで、今年4月に米英両国から資産凍結や渡航禁止などの制裁が発表されていますからね。プーチン氏も彼女の手腕に大きな期待を寄せていることが伺えます」(ロシア情勢に詳しいジャーナリスト)

 チホノワ氏は、プーチン氏と元妻リュドミラ・プティナ氏との間に生まれた次女で、上には長女マリヤ・ボロンツォワ氏(36)がいるが、

「安全上の懸念から、プーチン氏が娘たちの名前を公にしたことは一度もありません。したがって、2人が自分の子どもであると公に認めたことはないのですが、ロシア国民の間では、その存在は公然の秘密となっています」(同)

 チホノワ氏は新興財閥のキリル・シャマロフ氏と2013年結婚。5年後の18年に離婚したものの、西側に対抗する映像共有アプリ開発の財団を運営したり、昨年6月には、ロシア版ダボス会議である「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」に出席するなど、政治活動にも参加。そんなことから、今回、チホノワ氏が財界と政界を網羅する要職に就任したことを受け、ロシア系メディアの中には、プーチン大統領が後継者に次女を指名し、一時的に権力を委譲して院政を敷くのでは、との見方も出ているという。

 実は今年5月、ドイツ誌シュピーゲル(19日電子版)が、チホノワ氏と元著名バレエダンサーのイーゴリ・ゼレンスキー氏(52)がパートナー関係にあることを伝えたばかりだった。

「記事によれば、彼女は前夫であるオリガルヒの男性と婚姻中にイーゴリ氏と交際を始め、17年に娘を出産しているそうです。さらに、19年までの2年間でミュンヘンに50回以上渡航しており、移住も検討していたと伝えています。ただ現在は、渡航禁止や資産凍結の対象となっている身。RSPPの議長という要職に就いたほか、メドベージェフ氏に代わる与党・統一ロシアの党首候補ともいわれ、政権中枢へ躍り出たとしても不思議ではないはず。父親の鶴の一声でウルトラCがないとは限りません」(同)

 カテリーナ・チホノワ氏が表舞台に登場する日も近そうだ。

(灯倫太郎)

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