外国人観光客対策の「屋外ではマスク不要」に保健所職員が憤激反論

 文字通りの朝令暮改だ。
 
 6月1日から外国人の入国制限が大幅緩和されたと同時に、屋外ではマスクを外せと政府が言い出した。これに危機感を強めるのが、都内の保健所職員だ。
 
「コロナ陽性患者数は減ってきているのですが、反対に症状が重篤化しやすいハイリスク患者の占める割合が高くなってきました。幼児や児童から高齢者に感染する家庭内感染、あるいは高齢者施設、障害者施設での集団感染が相次ぎ、危険な兆候です」
 
 重症化しやすい人達の陽性率が高く、医療が逼迫することになれば、再び経済活動が止まってしまう。保健所職員が続ける。

「要するに、政府のコロナ対策が全て妥協の産物で、科学的根拠がないのが問題なのです。外国人観光客に忖度して、屋外ではマスク不要と言い出したのでしょうが、たとえ屋外でも人が密集する場面では、飛沫感染を防ぐマスク装着は必要です」

 幼児がマスクをつける必要はないというのはその通りなのだが、

「屋外ではマスクを外していいとの情報を政府が流した結果、駅のロータリーで中高年や若者が宴会を始めたり、引き続きマスクを装着すべき環境にいる人に限って、人が密集する場所でマスクを外して感染を広げている現状があります。重症化するリスクのある人ほど、都合のいい時だけ政府の呼びかけに乗っかる。政府が軌道修正しないと、患者数は増えていないのに医療が逼迫してまん延防止を出すとか馬鹿げた事態になりますよ。これで海外から新たな変異株が持ち込まれたら、目も当てられない」(医療関係者)
 
 暑くなってマスクを外したい衝動に駆られるが、当面は人通りの少ない路上で外すのに留めておくのがよさそうだ。

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