コロナ不況で生まれた!?「芸人だらけの職場」とは

 コロナの影響で廃業、閉店、移転を余儀なくされた業界や業種は多い。もともと食うに困っていたお笑い芸人たちはこぞってUber Eatsでアルバイト、糊口をしのぐ者が増えた。仕事激減でも発想を転換させて、生活が上向きなった芸人もいる。かもめんたる・槙尾ユウスケだ。

 岩崎う大とのコンビで「キングオブコント2013」で優勝。賞金やCMを含めたマックス月収は600万~700万円に達したが、翌年には早くもスケジュールに空白が目立つように。妻子を養うために、先輩芸人のヒロシが経営していたカラオケパブを昼間だけ借りて、ランチタイムの間借り営業をしたことがある。

 そのノウハウを生かし、コロナ禍でさらなる収入減となった20年には、バーのお昼時間を借りて「スパイスカレー専門店 マキオカリー」を東京・三軒茶屋にオープン。仲間芸人を店長にして、暖簾分け店も出した。三軒茶屋店は自身が店長で週5ペースで厨房に立ち、調理・接客に精を出して大成功、と思われたのだが…。

「長引くコロナ禍と原材料費の高騰が大打撃となって、四谷三丁目店は休業、新宿店は閉店。今年に入ってからは、利益が月数万円程度に落ち込んだそう。それでも値段は据え置き。昼間の間借り営業なので家賃が光熱費・水道代込みで定額なのが唯一の強みですが、長引く不況にギブアップ寸前。三軒茶屋店と五反田店も安泰ではないらしいです」(芸能ライター)

 新しい労働形態を生みだしたが、苦労が続く槙尾。そんな芸人がいる一方で、行政を巻き込んで成功した者もいる。

 昨春、東京都中野区のNPO法人が運営する学習支援教室がコロナ禍で閉鎖。同場所で、スタッフ全員が芸人の「一般社団法人わくわくわらっぴー」が開校された。芸人たちはベビーシッターや保育士、家庭教師や教員免許といった有資格者ばかり。小中高校生たちを対象に学習支援、親子食堂でサポート。学習、笑い、食で子どもたちの居場所を作る社会事業に参加している。

「ワクワクがあり、笑い+Happyが“わらっぴー”の由来。芸人たちは非常勤で、出勤日を相互管理しているので労働環境・条件は悪くない。芦田愛菜のものまねで一世風靡したやしろ優も在籍しています。月に1度ほど、親子食堂で自慢の手料理を子どもたちに振る舞っているそう」(前出・芸能ライター)

 やしろといえば、16年に笑撃戦隊の野村辰二と結婚。今年1月に男児を出産した新米ママ。乳児を背中におぶって、わくわくわらっぴーの厨房に立っている。

 コロナ、円安、物価高で明暗分かれる芸人だらけの職場。芸人収益と違って安定収入を得て、努力が報われてほしいものだ。

(北村ともこ)

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