原因はロシアだけじゃない! 首都名や国名の変更が相次ぐワケとは?

 今年3月、ロシア語の発音だった首都キエフをウクライナ語読みの「キーウ」に呼称変更することを発表した日本政府。4月には隣国モルドバの首都キシニョフも同じくロシア語読みだったことから「キシナウ」に変更された。
 
 いずれもウクライナに軍事侵攻を行ったロシアの言葉での呼び方はふさわしくないとの判断からだ。実は、2010年代半ば以降、都市名だけでなく国の名称が変わったケースが世界的に増えている。
 
 ウクライナと同じ黒海に面した「ジョージア」も15年まではロシア語由来の「グルジア」と表記されていた。そのジョージア、08年には自国領の南オセチアでロシア軍と紛争になるなど関係は最悪だ。以前から多くの国が英語由来の今の読み方で呼んでいたが、日本や韓国、旧ソ連の国は「グルジア」としていた。日本の表記変更の裏には、ロシア語で呼ばれるのを嫌がった当事国の国民感情があったのかもしれない。

 また、読み方どころか国名ごと変わった例もある。18年には周囲を南アフリカに囲まれた四国よりやや小さい君主制国家スワジランドが、現地語での呼称「エスティワニ」に改名。さらに19年にはマケドニア旧ユーゴスラビア共和国が「北マケドニア共和国」に。マケドニアはもともとギリシャの一部地域の呼び名だったため、同国政府が長年にわたって反発。配慮する形で今の国名に変更し、国連通知により受理されている。

 そして、同年にはカザフスタンも首都アスタナを初代大統領の偉業を称え、彼の名を冠した「ヌルスルタン」にしている。

「国名が変更された場合、日本ではすぐに呼び名が改められるわけではありません。外国の要請を受けてコロコロ変えていたら、わが国での呼称の安定性を損ないかねないからです。また、呼び名を変えるためには法律も通さなければならないので、手続きは意外と面倒。例えば、エスティワニが日本での正式名称になったのは19年で1年近いタイムラグが生じています」(全国紙記者)

 日本周辺でも海を隔てたお隣フィリピンでは、植民地時代から続く今の名前から「マハルリカ共和国」に変えようとの案も出ている。同じ政治体制の国家が存続していても国や首都の名前がずっと同じとは限らないのだ。

(トシタカマサ)

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