レアル加入の久保建英に待ち受ける「世界一過酷な競争」とは?

 スペインの名門レアル・マドリードへの加入が正式に発表され、世界中にその名を轟かせた日本代表MF久保建英だが、今後待ち受けるのは世界のスーパースターでさえ音を上げる“ワールドクラスのデッドヒート”である。

 今回、久保が契約したレアル・マドリードは欧州屈指の超名門チームで、過去には国際サッカー連盟のFIFAから「20世紀最高のサッカークラブ」なる称号を授与されたこともあり、ヨーロッパ最強のクラブを決するUEFAチャンピオンズリーグでは史上最多となる13度の優勝回数を誇るぶっちぎりの世界No.1クラブチームだ。

 デビッド・ベッカムやルイス・フィーゴ、カカ、クリスティアーノ・ロナウドといったスーパースターが在籍したチームであり、トップチームの現監督もかつてレアルを勝利に導いた元フランス代表の英雄ジネディーヌ・ジダン氏。つまり、フットボールを洗練させる場としてはうってつけの環境であり、全てのプレーヤーが籍を置くことを夢見るチームということだ。

 しかし、懸念材料は久保が“どこでプレーできるか”という点である。

「久保のレアル・マドリード加入が決まったとはいえ、すぐさまこのトップチームでプレーできるはずはなく、まずはスペイン3部リーグに相当するBチームであるレアル・マドリード・カスティージャで武者修行することになります。ただし、このカスティージャにも明日のブレイクを夢見るスターたちが大量に在籍しており、競争の激しさは変わりません。そして、仮にこのBチームで結果を残したとしても、次に待ち受けるのは世界で最も熾烈なトップチームのポジション争いということになります。過去にはブラジルW杯で得点王となったコロンビア代表のハメス・ロドリゲスですら試合に全く出られず、ベンチ生活を余儀なくされ、世界最高プレーヤーと称されたカカも満足に試合に出られないという理由で最終的に退団を決意しました。日本代表選手としてデビューしたばかりの久保がこのチームで試合に出るには相当な覚悟が求められるといえるでしょう」(スポーツライター)

 とはいえ、お先真っ暗というわけではない。レアルは久保を1年間Bチームで武者修行させ、その結果如何によっては他チームへのレンタル移籍を考慮しているというが、このルートで成功を手にしたケースがいくつか存在するからだ。
 
「現在のレアル・マドリードで“不動の右サイドバック”として君臨するスペイン代表DFダニエル・カルバハルは、レアルのBチーム出身で他チームへのレンタル修行を経て、このチームのスタメンを奪い取りました。他にもブラジル代表MFカゼミーロやスペイン代表FWマルコ・アセンシオなども同じような道を辿っており、若手が活躍する可能性がないわけではない。もちろん凄まじい強運と実力の持ち主しか、このチームでは輝けないという現実は変わりませんが…」(スポーツライター)

 果たしてレアル・マドリードとの契約を選んだ久保の判断は吉と出るか凶と出るか。まずは1年間の武者修行に専念し、その後のキャリア設計を模索していくことになるだろう。

(木村慎吾)

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