「マクドナルド」ロシアから完全撤退、850店舗と6万人従業員はどうなる?

 ファーストフードチェーン大手の米マクドナルドは、ロシアのウクライナ侵攻を受けてロシア国内での事業を一時停止していたが、現地で全事業の売却先を探し完全撤退する意向であることを明らかにした。この決断には称賛の声もあがっているが、ロシアでの事業売却は難航する可能性もあるという。

「マクドナルドは5月16日に声明を発表し、『ウクライナ侵攻による人道的危機と予測できない経営環境から、ロシア事業を継続することは不可能であり、マクドナルドの価値観とも一致しない』と撤退の理由を説明しました。同社はロシアで約850店舗を展開し、およそ6万2000人の従業員が働いていましたが、売却が完了するまでは全従業員への給与の支払いを続け、売却先にも雇用を続けるよう働きかけるといいます」(フリージャーナリスト)

 今年3月にはマクドナルドの一時営業停止を受けて、ロシア国内の空き店舗にマクドナルドのロゴそっくりなコピー店「ワーニャおじさん」が営業を開始。ロシアの下院議長が「マクドナルドは閉鎖すると発表したが安心してほしい、明日この場所にはワーニャおじさんがいるはずだ」とコメントしたことがニュースになっていたが、マクドナルドが事業を売却するのは、この「ワーニャおじさん」になるのだろうか?

「日本でも様々なメディアが取り上げたことで話題となった『ワーニャおじさん』ですが、実はマクドナルドそっくりに作られたロゴもロシア人がジョークで作成したもので、マクドナルドの空き店舗で営業しているという情報はまったくのフェイクだったとか。ロシアで『ワーニャおじさん』の登録商標を持つ企業も『飲食店は営業はしていない』と自社のホームページで公式に否定しています。今現在、マクドナルドの事業売却先はまだ決まっていないとみられ、ロシア国内の経済状況もかなり悪化していることから、そう簡単には売却先が見つからないかもしれません」(経済ライター)

 さて、どうなることやら。

(小林洋三)

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