先ごろ、東京商工リサーチの発表により、2021年度のハンバーガー店の倒産が増加していることが明らかとなった。コロナ禍の勝ち組として新規参入組も相次いだハンバーガー業界だが、倒産が増えた理由は一体どこにあるのだろうか?
「21年度のバーガー店の倒産は6件で、前年度の1件から5件増え、このうち5件がコロナ倒産だったといいます。ただ、ハンバーガーの需要がしぼんだかといえば、そうではありません。総務省統計局が発表した20年の『家計調査年報』では、2人以上の世帯の外食支出でハンバーガーのみが11.5%増と品目別で唯一前年を上回り、読売新聞の集計では21年1月~7月までの2人世帯のハンバーガー支出は一昨年の20%増と、前年をさらに上回るペースで増加しているのです」(経済ジャーナリスト)
バーガー店の苦境については、新規参入組が増えたことによる競争の激化を指摘する声もある。20年11月には「焼肉ライク」を手掛けるダイニングイノベーションがテイクアウト専門の「ブルータスバーガー」をオープンさせると、21年5月には「ロイヤルホスト」のロイヤルホールディングスが「ラッキーロッキーチキン」をオープン。同8月には鳥貴族ホールディングスが「トリキバーガー」をオープンさせているためだ。
ただ、「ブルータスバーガー」は都内と神戸に4店舗、「ラッキーロッキーチキン」と「トリキバーガー」はそれぞれ都内に2店舗のみなので、競争激化というほどでもないだろう。
「バーガー店の倒産が増加している原因は、大手2社が強すぎる面も影響していると見られます。『マクドナルド』の21年12期月連結決算は営業利益が345億1800万円と2期連続で最高益を更新し、全店売上高も3期連続で過去最高を更新するなど絶好調。また、『モスバーガー』も最新の22年3月期第3四半期決算では営業利益が31億3400万円と、驚異の前年同期比221.5%増になっているのです。両者は郊外店も多く、ドライブスルーが再び脚光を浴びたことで利用客が急増し、他のバーガー店の客をもごっそり持っていく傾向にあるようです」(経営コンサルタント)
大手2社が圧倒的な強さを見せる中、コロナの協力金がなくなり、さらにはロシアのウクライナ侵攻の影響もあって原材料や光熱費の高騰まで起きている。今後、さらにハンバーガー店の倒産が増えると見て間違いないだろう。
(小林洋三)