NTT「ロシア産ウイルス対策ソフト」を使用中止へ…ハッカーに利用された過去も

 4月8日、NTTグループがロシアの情報セキュリティ大手「カスペルスキー」のウイルス対策ソフトの使用を中止する方向で検討していることが明らかとなった。ロシアがウクライナを侵攻したことにより、3月25日に米連邦通信委員会(FCC)がカスペルスキーをブラックリストに追加したことを踏まえての判断だというが、ネット上では《一刻も早く使用を中止するべき》という声もあがっている。

「カスペルスキーは世界中で4億人以上が利用しているとされる性能が評価されたウイルス対策ソフトで、様々な国の政府機関などでも採用されています。しかし、同社の本部はモスクワにあり、また2017年には、ロシアのハッカーが同社製のウイルス対策ソフトを悪用して、米国家安全保障局(NSA)の機密情報を盗んだことも報じられています。そのため同年、米政府のすべてのコンピューターでカスペルスキーのソフトウェアの使用を禁止する法案が可決されています」(フリージャーナリスト)

 なお、同社のユージン・カスペルスキーCEOはロシア政府とのつながりは「真実ではない」と中立的な立場であることを宣言していて、ウクライナ侵攻に対しても「私たちは、平和的な対話が紛争を解決するための唯一の手段であると信じている。戦争は誰にとっても良いものではない」とロシアの侵攻に対して否定的なコメントも出している。

「しかし、ネット上では《今ロシア製のウイルス対策ソフトは考えもの》《NTTグループは前にも不正アクセスされて情報漏えいした疑いがあるからね。早く対処するに限る》など使用中止は妥当という声が圧倒的。今年に入ってから日本企業の情報漏出やマルウェア『エモテット』の感染が相次いでいますからね。また、ロシアは世界各国から経済制裁を受けているためサービス提供が滞る可能性もあり、継続的に使用するにはリスクがあるとの判断もあったとみられています」(同)

 国内情報サービスの最大手であるNTTグループがカスペルスキーの使用を中止するのはやむを得ない判断だろう。

(小林洋三)

ライフ