ジャニーズは変えないけれど…NTT社長が社名変更を要望、では何に変わるのか

 9月7日に行われたジャニーズ事務所の会見を受け、いくつかの大手企業でCM起用の見直しが行われ、ジャニーズ包囲網が社会の中で築かれつつある。批判されているのはおもに3点。株保有がそのままなこと、過去を知る東山紀之が社長になること、そして社名を変更しないことだ。この問題は、農林水産省がTOKIO城島茂のアンバサダー活動を見合わせるなど省庁にも見直しの動きが及び、財界トップも事務所を批判するなど、より広く社会に広がりそうだ。
 
 一方、不祥事とは全く無関係に、社名が変わる可能性を臭わせる動きがあったのが、NTTだ。現在、防衛費増額の財源として政府が保有するNTT株の売却話が議論されているが、9月12日にひかれたNTT法改正を検討する総務省の委員会の中で、NTTの島田明社長が「自社で社名を変更できるよう配慮してほしい」と要望したからだ。

 NTTの正式な社名は「日本電信電話」で、確かにヤボったいし、事業の中身とマッチしていない。だが、この社名はNTT法に明記されているため、変えるにはまず法改正が必要なのだ。
 
 島田社長のこの発言がニュースになると、すぐさまSNSでも話題になった。《確かにそぐわない》という意見があれば、《既に広く知られた社名だから》と反対もあり、中には《じゃあ、あのロゴも変わるのか》といった疑問も上がっている。
 
 では仮に社名が変わったとして、グループ各社も含めて全て変更することになるのだろうか。
 
「グループ会社を多数抱える企業の大きな名称変更としては、松下がナショナルを含めて社名から取り去り、08年にパナソニックに統一したケースがあります。この時はグループ会社の定款も変更して、全ての会社で『松下』と『ナショナル』を変更。当時のナショナルはグループ会社が500以上ありましたが、NTTはさらに多い900社以上あります。またNTTデータに関しては、7月に持ち株会社名を『NTTデータグループ』にしたばかり。NTT法適用対象外の会社ですが、グループなのは変わりませんから、どうするんでしょうかね」(経済ジャーナリスト)

 900社以上もあるのなら、社員の名刺や会社の印刷物、看板など、思いつくだけでもかなりの大仕事になることがわかる。コストは膨大だ。では、社名はどうなるのか。
 
「会社が名称変更した過去の例からすると、パナソニックや東京通信工業からソニーに変わったブランドと社名の統一というパターン、東京芝浦電気→東芝の短縮化、日本電装→デンソーのカタカナ化、オリンパス光学工業→オリンパスの短縮&カタカナ化&業種外し、小西六写真工業→コニカの造語(現・コニカミノルタ)などの例があります。NTTのように社名と事業の中身が合わないということだと、最後の造語パターンに当てはまるような気がしますが」(同)

 果たしてどうなるか。
 
(猫間滋)

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