開幕6戦目で初勝利を挙げたものの、またしても連敗。しかし、“ビッグボス”新庄剛志監督(50)の送り出す先発投手には「翌日の試合に向けた仕掛け」も隠されていた。
連勝を逃した4月1日のオリックス3連戦の初戦、先発投手に選ばれたのは、高卒2年目の根本悠楓だった。その根本に大事な初戦のマウンドを託した理由というのが興味深い。
「第2戦は伊藤大海が先発します。根本が投げた翌日となれば、伊藤の投球も活きてきます」(球界関係者)
4月1日の先発投手は誰が務めるのか、注目されていた。ちょうど1週間前の3月25日は、開幕戦だった。本来であれば、開幕戦に投げたエースが中6日で投げるはずだった。
「エースを3、4番手との投げ合いにぶつけたほうが勝つ確率が高い」とする新庄監督の持論により、ドラフト8位ルーキー・北山亘基が開幕投手に選ばれた。そのため、オリックス3連戦初戦の先発投手は発表されるまで読めなかった。
「開幕戦で伊藤がリリーフ登板しています。伊藤を予想する声も出ていました」(スポーツ紙記者)
根本をその伊藤の前に投げさせたのは、双方のピッチングスタイルの違いに理由があった。まず、左腕・根本は速球が武器。昨季の新人王・伊藤の長所は説明するまでもないが、オープン戦では曲がり幅の大きいスローカーブもテストしていた。フワッと浮き上がるような軌道で、パ・リーグ各球団のスコアラーたちは、「去年はほとんど投げていなかったはず」と警戒を強めていた。
左右の違いはもちろん、速球派の後に伊藤が出てくれば、そのスローボールがより効果的に決まるとも新庄監督は考えたという。結果的に4月2日、
「新庄監督は監督室ではもちろん、自宅でも試合のVTR映像を持ち帰ってフルタイムで見入っています。メディア取材の対応はもちろん、パフォーマンスの打ち合わせ、打線も何度も練り直しています。オープン戦ではガラガラ抽選機で決めたとお道化ていましたが、オープン戦終盤からは投打ともに選手起用のことで考え込んでいます」(前出・球界関係者)
選手の長所を伸ばすことで、頭の中がいっぱいだという。食事の時間もままならない多忙さに選手たちは申し訳ないと思っており、その期待に応えようとしている。負けが込んでも、日本ハムナインが下を向かないのはそのためだろう。
(スポーツライター・飯山満)