毎年恒例となっているリクルートが発表している「住みたい街ランキング」。22年は横浜、吉祥寺の定番人気街に続いて3位に大宮が、そして4位の恵比寿の後に5位に浦和が食い込んで、なんと埼玉県勢がトップ5に2つも入るという躍進を見せた。
「今年1月1日時点の人口推計で東京都は約4万8600人が減って、1996年以来26年ぶりに通年で減少しました。コロナ禍もあって転入に比べて転出が超過しているからで、一方、埼玉県は21年の転入が全国一多かった。つまり、大宮、浦和が東京からの転出組の受け皿となったことがランキング上昇の理由と考えられます」(経済ジャーナリスト)
一応、大宮と浦和について説明しておけば、いずれもさいたま市の街で、元々は埼玉県の県庁所在地だった浦和市と、東京都心から30キロ圏内にあって90年代に人口が40万人を突破して、いわゆる「郊外」の都市として急拡大した大宮市、そしてその両市に挟まれた与野市が01年に合併して出来たのがさいたま市だ。だからもともと都市としてのポテンシャルは高く、かつ、都心へのアクセスは抜群。そこへニューノーマルな生活で都心離れが生じ、人気が高まったと言える。
そしてこの2都市では、住みたい街ランキングでの躍進を裏付けるかのように、相次いでカプセルトイの「ご当地ガチャ」が登場している。
「昨年3月に、大宮の有名店や場所などをキーホルダーにした『大宮ガチャ』が登場すると、ジワジワとその人気が広がり、これは行ける!ということで続いて浦和ガチャが生まれました。その後バージョンアップを重ねても人気は衰えを見せず、大宮ガチャは昨年に第4弾まで投入、累計販売数は3万個を突破しています。その勢いを借りて3月16日には大宮の第5弾、浦和の第3弾、そして与野ガチャまで登場することとなりました」(同)
もともと大宮や浦和には、よそ者には分からないご当地自慢みたいなものがあったが、与野ガチャのラインナップもかなりマニアックだ。「さいたまスーパーアリーナ」「彩の国さいたま芸術劇場」は有名だが、「与野公園ばらまつり」となると、頭の中は「?」。同祭りは与野公園で毎年5月に開催されるのだというが…。他には、埼玉県人の自虐っぷりが人気で実写映画にもなったマンガ『翔んで埼玉』に出てくる「与野はすっこんでろ!」のフレーズ・ガチャ(これはレアアイテム)も含めた9種類がある。
第5弾となる大宮にしてみても、老舗中華料理店の「食堂 多万里」や「大宮総合車両センター」などとマニア度が深化。もともと“謎の大ヒット”と言われていたところに、与野ガチャの登場でさらに謎が深まりそうだ。
(猫間滋)