大ヒットを続けている映画「翔んで埼玉」。埼玉県のあるあるネタを多く取り入れたことが、ヒットの理由の1つ。例えば、大宮と浦和が揉め、与野がそこに口をはさむと、大宮と浦和から「与野は黙ってろ!」と怒られるといった具合。埼玉県民以外には何のことやらさっぱりなのだが、埼玉県民なら大爆笑モノだ。他にも随所に“埼玉あるある”が散りばめられ、思わずニヤリとしてしまうこと必至。
だが、そんな「翔んで埼玉」にも描かれていない「埼玉あるある」があるという。なんでもそれは、県内で繰り広げられる骨肉のライバル関係なのだという。
「高崎線と宇都宮線の沿線住民によるライバル意識です。どちらの沿線住民も『相手のほうが田舎』と思っていて、この議論になるとついヒートアップしてしまうんです」(鉄道ライター)
2つの路線はともに上野から発着し、大宮までは同じ線路を走っている。大宮から先は線路が分かれ、高崎線は北西に、宇都宮線は北東へと進んでいく。どちらも県を貫く大動脈だ。またどちらの沿線にも並行して新幹線が走っており、そんなこともライバル意識に輪をかけるのだろう。
「2つの路線は同じ車両を使っているので、下り列車に乗る場合は乗り間違いをしやすい。大宮から宇都宮線に乗るつもりが高崎線に乗ってしまい、最初の宮原駅で間違いに気づくことがよくあります。もちろん逆もしかり。乗り間違えた場合、上り列車に乗り換えて大宮まで戻らなければならず、絶望的な気持ちになりますね」(前出・鉄道ライター)
宇都宮線と高崎線を判別する方法は、列車の行き先が頼り。宇都宮、小金井、古河、黒磯行きなら宇都宮線。高崎、籠原、前橋、本庄行きなら高崎線となる。地元住民でもわからなくなることがあるとか。
そんなライバル関係、実際どちらが上でどちらが下というのはあるのだろうか。
「ハッキリ言って、どっちもどっち。ただ、鉄道に限っていえば、明らかに高崎線のほうが優遇されています。特急は多いですし、着席して通勤できる、いわゆる『ホームライナー』(現在は名称変更)も高崎線は今も走っていますが、宇都宮線は14年に廃止されてしまいました」(前出・鉄道ライター)
もし「翔んで埼玉2」を作ることになったら、ぜひとも高崎線vs宇都宮線のバトルを入れてほしいものだ。