なぜ今? Netflix“パスワード共有”取り締まりの動き

 動画配信サービスを提供する米Netflixは3月16日、友人などとパスワードを使い回すなど、同居していないのに同じアカウントを共有するユーザーを取り締まることを明らかにした。これにより、若者たちのNetflix離れが加速する可能性を指摘する声もある。

 同社はこれまでも家族以外の人とアカウントを共有することを禁止していたが、ロイターの調査によれば18~24歳の21%が同居家族以外のユーザーのログイン情報で共有していたというデータもあるように、Netflix側が特に対策を取ることもなかったため若者たちの多くは同じアカウントで動画を楽しんでいるデータも出ていた。また16年には当時CEOだったリード・へスティング氏が、Netflixが家族以外と共有されていることに「とてもポジティブなことだ」と容認するようなコメントも出している。

 しかし、突如として方針を転換したのは新規会員数の伸びが鈍化していることにあるとも見られている。同社の発表資料によれば21年第4四半期の新規会員数が予想を30万人も下回る結果となり、さらには22年の予想新規会員数がアナリストの予想の半分以下と大幅に下回ったこともあって、一時株価が25%安と14年10月以来の大幅安を記録したのだ。

「新規会員数を増やすために家族以外のアカウント共有を取り締まるのは、むしろ会員数を減らすことになるかもしれません。Netflixはコスタリカ、チリ、ペルーなどで追加料金を支払うことで比較的に安く複数アカウントを共有する救済措置のテストを始めるそうですが、家族以外とアカウントを共有している多くは10代の若者といわれているので、アカウントを共有するために追加でお金がかかるなら辞めてしまおうと考える人が増えるのではないでしょうか」(ITジャーナリスト)

 巣ごもり需要の終焉で逆風が吹きはじめたNetflix。アカウント共有の取り締まりは吉と出るか…。

(小林洋三)

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