「ネコノミクス」2兆円がコロナ危機を救う【1】経済規模は東京マラソンの73倍!

 寅年に猫が大フィーバーだ。「猫雑誌」に「猫CM」「猫自動車」‥‥気づけば周囲は猫だらけ。この猫たちがコロナ不況で青色吐息の日本経済を支える縁の下の力持ちになっているというのだ。猫も杓子も花盛りの「ネコノミクス」を緊急特報する!

 抜き足、差し足、忍び足とばかりに、お茶の間はもちろん、街中からネット上に至るまで猫が進軍を続けている。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授によれば、22年の「ネコノミクス」(猫の経済効果)は1兆9690億円にも上るという。「全国犬猫飼育実態調査結果」(一般社団法人ペットフード協会調べ)によれば、21年の飼い猫は「約894万頭」で、20年の「862万頭」より32万頭も増加しているのだ。

「宮本名誉教授は、増加の理由として、コロナ禍を挙げています。自宅で過ごす時間が増えたことで、心を癒やすペットが欲しいと、新規に飼育する人が増えているというのです。しかも猫は犬と違って、散歩に連れ出す必要がないなど飼育が手軽で、費用が犬ほどかからない」(動物ライター)

 確かに飼い犬の頭数は14年を境に、猫に逆転された。徐々に減少の一途を辿り、21年は710万頭。猫との差は約200万頭近くまで水を開けられている。宮本教授は、増加する飼い猫のエサなどの飼育費に加え、猫グッズや猫カフェへの支出、さらには猫をめぐる観光旅行費用まで計上。冒頭の約2兆円の経済効果を弾き出した。この「ネコノミクス」レポートは次のように記している。

〈これまで多くの経済効果を計算してきたが、1兆円を超える経済効果は非常に少ない。17年の広島カープ優勝で401億円、03年の阪神優勝でも1481億円だった。日本最大の市民マラソン・東京マラソンの271億円と比較すると73回分となる。小さな猫でも日本全体となると大きな額となり、各家庭での積み重ねが日本経済全体を動かす原動力になるのです〉

 鯉はもちろんトラまで食らい、小池百合子都知事もホゾを噛むほど、猫が大躍進しているという。まるで猫ダマシにあったような気分になるが、書店に入れば猫の表紙がズラリ。「まっぷる」ならぬ「にゃっぷる」(昭文社)、「AERA」をもじった「NyAERA(ニャエラ)」(朝日新聞出版)と、猫増刊号のオンパレードではないか。ニャンビリーバブル!

 その中の1冊「FNASH(フニャッシュ)ねこ自身」(光文社)を手に取ってみると、巻頭にゃんこグラビアに猫好き有名人、温泉看板猫に猫漫画とまさに猫のフルコース。なんと「私だけに見せた『SEXYポーズ』大公開!」なる袋とじまで用意されていた。

 ここで袋とじの中身を明かすわけにはいかないが、表紙にはゴロリと床に寝転ぶ猫、脚を開いて挑発する猫‥‥コレを扇情的と感じられる人間は、猫好きを通り越して猫そのものになってしまっているのではないか。

 都内でチンチラゴールデン(13歳)と暮らすMさんはこう答える。

「えっ、スマホで猫のもふもふ動画を見たら、癒やされませんか。自分の猫ちゃんがこういう雑誌のグラビアを飾ったら、もう昇天してしまいそうですよ」

 猫好き人間、まっしぐらな袋とじだったのだ。

*「ネコノミクス」2兆円がコロナ危機を救う【2】につづく

マネー