たちまち2億円!東大「ネコの腎臓病」研究に愛猫家から寄付が殺到

「猫の宿命」と言われるのが腎不全だ。ほとんどの猫は高齢になると慢性腎不全を患い、その発症率は8歳前後で8%、10歳前後は10%、12歳前後で24%、15歳前後だと30%という数字もある。また、腎不全とは言わないまでも3カ月以上、腎臓にダメージが加わっている状態を慢性腎臓病といって、猫全体で10%、高齢猫では35%、特に15歳以上だと80%に上るとも言われている。だからネコの死因もトップの癌に続いて腎不全が2位、調べ方によっては1位になることもあるようだ。

 さて、そんな猫の「宿命」も、近い将来致命傷にならなくなるかもしれない。東大で猫の腎不全を防ぐ薬の研究が進められていて、いったんはコロナ禍の苦境にあってストップしていたものが、全国の愛猫家から「最速で2億円超」という寄付金のサポートを受け、再スタートしたからだ。

「研究を行っているのは東大で免疫学を研究する宮崎徹教授です。教授は、本来は腎臓にたまった老廃物の除去を行うはずの『AIM』というたんぱく質が、猫ではうまく機能していないことに着目。そこでAIMを投与する臨床試験を行っていたところ、研究をサポートしていた企業がコロナ禍で苦しくなったことにより撤退。研究もストップせざるを得なくなっていたんです」(週刊誌記者)

 ところがネット記事でこの経緯が伝えられると全国の愛猫家から続々と寄付金が集まり、つい先日、とうとう2億円を突破したという。するとこのことを聞きつけた新たな製薬会社が支援の手を上げ、無事、研究が再開されたのだ。

「件のネット記事が掲載されたのが7月11日で、なんと既に19日には990件、1億2370万円の寄付が集まって、東大の担当者も『史上最速のペース』と猫好きたちの猫愛に驚いたそうです」(前出・記者)

 研究は16年から行われていて一部の愛猫家の間では期待されていたが、アカデミックな話ゆえ広く認知はされていなかった。そこでネット記事が火を点けた形になるが、直後の8月には宮崎教授による「AIM」研究を綴った一般書も刊行され、より多く知られるようになっていた。

 AIMが猫を救うか。

(猫間滋)

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