解説者・松坂大輔の「スライダー教室」に入門者続々!まるで指導者のリハーサル?

 松坂大輔氏のスライダーがちょっとしたブームになっている。去る2月3日、今季からプロ野球解説者となった松坂氏が巨人キャンプを訪れ、戸郷翔征に「スライダー」に関するアドバイスを送った。それを皮切りに広島・九里、ヤクルト・清水と田口、楽天・高田などが「是非!」とスライダーの投げ方を教わっている。

 今季のペナントレースで、「松坂のスライダー」が蘇るかもしれない。

「10日のフリー打撃に登板した戸郷は、その手応えを口にしていました」(スポーツ紙記者)

 松坂氏が行く先々で質問攻めにされたのは、彼らが全盛期のスライダーを見て育ったからだろう。甲子園、渡米前の松坂氏と対戦したことのあるOBたちは、こう評していた。

「ストレートだと思ってバットを振りに行ったら、大腿にボールが直撃していた」
 
 これは、左バッターの証言だ。

 そんなに鋭角なスライダーが各チームに広まったら、とんでもないことになるだろう。しかし、こんな情報も聞かれた。

「戸郷が投げていたのと、ヤクルトの清水が練習していたスライダーは別物。戸郷は鋭く大きく、清水は曲がり幅の小さいものでした」(プロ野球解説者)

 松坂氏は自身のスライダーの握り方を見せながら、リリースする瞬間について「捻るのではなく、切るように」と伝えている。同じ変化球で、同じ握り方をしても、ボールの軌道は異なるという。松坂氏は、教えを請うてきた投手の目的に合わせて、アドバイスの内容を変えていたのかもしれない。

「晩年の松坂はいくつかのスライダーを投げ分けていたと思います。20代のころの鋭角さは失われましたが、曲がり幅やスピードを変えていました。中日に在籍していたころが特にそうでした」(同)

 松坂氏はキャンプ取材に先駆けて、高校生、大学生への指導が可能になる指導者の資格も取得した。現役晩年、監督、コーチよりも高校野球の指導に興味があるとも語っていた。キャンプ地での“スライダー講座”はその布石なのかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ