藤浪晋太郎の好投で決めた?阪神・矢野監督“ラストイヤー”の「チーム改造策」

 阪神・藤浪晋太郎が今季初の対外試合に先発登板した(2月11日)。しかし、その評価は分かれた。試合後、矢野燿大監督が「変化球でも勝負できるぐらいまで来ている」と話したように安定感があったと及第点を与える声もあれば、「まだまだ…」と厳しい眼も向けられていた。
 
 藤浪は毎年、同じことを言われているが、“今年こそ”復活してもらわなければ、阪神の優勝は遠いだろう。

「3イニングを投げ、被安打1無失点。この時期にもう159キロのボールを投げていました。途中、日本ハム打線がバント攻撃を続け、失敗しています。相手打線のマズい攻撃に助けられたとはいえ、藤浪は順調に仕上がっているようです」(在阪記者)

 しかし、それはあくまでも数字上の話。見るべき人が見れば「不安定な内容」に映ったようだ。

「捕手が構えたところに投げることができていませんでした。この日の捕手は坂本誠志郎で、右打者の外角に構えても、内角に行っていました。坂本はしたたかなリードを見せる好捕手ですが、藤浪の“スッポ抜け”までは計算していなかったと思います。ボールにスピードがあったことと、緩いカーブが緩急のバリエーションとなり、結果的に0点に抑えられましたが…」(プロ野球解説者)

 気になる点もあった。投球テンポが変わったことだ。藤浪は四球を連発しても、投球テンポが早いので、守備陣の集中力を途切れさせることはなかった。だが、この日は投球と投球の間合いがやや長く、「迷いがあるのではないか?」と心配する声も聞かれた。

「5日の紅白戦も、藤浪はゼロに抑えています。紅白戦での捕手は梅野隆太郎でした。5日は真っすぐの威力で抑えた感じ。11日の日本ハム戦は緩い変化球を交え、真っすぐをより効果的に使っていた印象です」(同)

 力勝負に出ていたら、日本ハム打線につかまっていたかもしれない。

 紅白戦とのピッチングの違いを考えると、3イニング無失点の好投は“捕手・坂本のおかげと言えなくもない。

 矢野監督は「安定してきた」とも評していたが、それは捕手・坂本のリードを合わせての評価だったのではないだろうか。矢野監督が見ていたのは、藤浪を操った坂本であり、紅白戦での梅野のリードと比較していたのかもしれない。

「梅野はフリーエージェント権を行使せず、残留しました。でも、チームの新主将に選ばれたのは坂本です」(前出・在阪記者)

 藤浪に注目が集まっていたが、指揮官の目はピッチャーをリードするキャッチャーに注がれていたのかもしれない。正捕手交代となれば、この一戦が分岐点となりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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