テレビ局の制作部門では平社員に相当する「AD」。かつては《キツい・汚い・危険》の3K、今でもブラック職種だとか“雑用”のイメージが残っているため、世間の印象は決して良いものとは言えない。
そんなイメージを払拭するため、テレビ各局は次々とADという呼称を廃止。違う呼び方に変えているが、局側もそれを周知徹底させるわけでもなく、これに演者たちが混乱しているという。
「アシスタントディレクターというように、役割はディレクターの補佐ですが、現場ではどうしても、雑務でこき使われる人、超過勤務が当たり前というイメージがあります。昔よりはかなりマシになりましたが、今でも厳しい仕事であることは変わりません。しかし、報道機関でもあるテレビ局がブラック企業みたいに思われるのは世間体が悪い。そこでせめて呼び名から変えていこうとしているわけです」(メディアジャーナリスト)
しかし、新名称が業界で統一されているならまだいいが、「YD(ヤングディレクター)」や「ND(ネクストディレクター)」など局によってバラバラ。これに困惑しているのはテレビ各局で仕事をする芸能人たちだ。
爆笑問題の太田光は、自身のラジオ番組「JUNK 爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)で「困るよね、こっちは全部ADで統一してるんだからさ」と納得いかない様子。実際、中堅芸能プロのマネージャーは、「テレビ局で打ち合わせの際、ロケの段取りの話の中でADという言葉を使ったら『ウチはその呼び方、今はNGなんですよ』とスタッフに注意されました(苦笑)」と話す。
「社内には名称変更の通達があっても外部には全然浸透しておらず、こうした出来事は今でも多い。そもそも名称を変えるくらいなら、ADの労働環境や待遇自体を改善したほうがよっぽどいい。コンプライアンスを意識するあまり、取り組むべき方向性が違う気がします」(同)
名前だけ新しくなって中身が伴っていなければ意味がないように思うが…。