6月1日から、来春卒業する大学生らを対象として、企業の採用選考が始まった。今年もオンライン選考が多く、学生に人気があるのは金融、生保・損保業界で、安定を求める傾向が強くなっている。一方で、驚くのはテレビキー局の凋落ぶりである。
東洋経済オンラインが2022年4月4日に配信した「学生2万5000人が選んだ就職人気ランキング」では、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施している「就職ブランドランキング調査」を紹介。上位100位に入っているテレビキー局はゼロだ。最高は109位のテレビ東京で、その下にNHK、TBS、日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日と続く。
別の大手就職情報も「就職企業人気ランキング」を発表しているが、100位以内に入っているのはNHKとTBSだけである。
今春大学を卒業し、東証プライム企業に入社した新入社員は冷静だ。
「残業も多いですし、テレビ局が格好いいという認識を持っている友人はいません。マスコミ関係で話題の経営者もいません。金融関係の会社なら残業しても、ノウハウを身につければ転職しステップアップ、独立も視野に入ります」
若者のテレビ離れは著しい。テレビを持っていない20代は多く、
「ネットニュースとAmazonプライム、Netflixでコト足りるので、テレビを持つ必要がない」
と言い放つのだ。
在京・在阪キー局、大手広告代理店4社が出資した番組の無料配信サイト「TVer」に力を入れているものの、収益にはつながっていない。民放局の採用担当者が肩を落とす。
「各局ともドラマ、バラエティーの企画が安易で、頼みのジャニーズ事務所もかつての勢いがない。つまり、キラーコンテンツがない。地上波は通販番組が多くなっており、これでは大学生も関心がないでしょう」
テレビは中高年のためのメディアとなっていくのか——。
(健田ミナミ)