コロナ宿泊療養者に有名駅弁や機内食を提供する東京都が批判を集めないワケ

 全国の各自治体が無症状や軽症のコロナ感染者向けに用意している宿泊療養施設。感染拡大で入所者も急増しているが、以前から問題視されているのが施設隔離中の食事。冷めているだけでなく揚げ物ばかりだったり、ビジュアル的にも美味しそうに見えないなど、一部入所者からは不満の声もあった。

 そうした中、東京都では小池都知事が宿泊療養施設で感染者に提供する食事を見直し、週1回程度だが有名駅弁など特色のある食事の提供を始めると発表。「税金の無駄遣い」との批判も懸念されたが、そんな不安をよそに好意的に受け止められている。

「国内の累計感染者数は1月18日時点で約194万人。誰もが感染してもおかしくない状況です。オミクロン株は重症化のリスクこそ低いと言われていますが、単身者以外の方は家族間感染を防ぐために宿泊療養施設への入所を希望する方も多いはず。だからこそ他人事ではないと思われているのでしょう」(医療ジャーナリスト)

 ちなみに東京都は、さっそく16日にJR東日本の協力のもと、「牛肉どまん中」(山形)、「炭火焼き牛たん弁当」(宮城)、「鯛めし」(神奈川)、「深川めし」(東京)を提供。今回の取り組みについて鉄道ライターは、「もともと駅弁は冷めた状態で美味しく食べられるように作られています。また、外装や中身も目でも楽しめるように工夫されている。近年は駅弁の売り上げが落ちており、業界も歓迎している」と双方にとってプラスだと語る。

 なお、東京都は今後も駅弁だけではなく、日本航空の機内食や有名料亭の仕出し弁当の提供も予定。これらの〝特別食〟は週1回とされているが、退屈な隔離生活中の数少ない楽しみにはなるはずだ。

 今のところ、こうした取り組みは東京都しか行っていないが、宿泊療養者にとって代わり映えのしない食事は大きな悩み。これを機に各自治体が提供する食事を改善してくれるといいが…。

(高島昌俊)

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