国の発表はウソだらけ「オミクロンの重症者はいない」【3】無根拠の待機と休業で一家崩壊

 2月10日、岸田政権は13都県に適用している「まん延防止等重点措置」の期限を3月6日まで延長した。「医療逼迫を回避する」とお題目のように唱えるが、実態はどうなのか。医療現場の声は政府や御用学者の主張とはまるで違う、怒りに満ちた座談会の後編だ。

〈座談会出席者〉
A=保健所職員(保健師)
B=コロナ病棟の看護師
C=発熱外来の診察医

C 塩野義製薬が開発中のコロナ治療薬の治験を担当しているのが、信じられないことに世田谷区の開業医なんです。ですから当然、治験患者数が少ない。クリニックが大学病院と提携して治験をすることはありますが、クリニックに倫理委員会を立ち上げて治験をするというのは聞いたことがありません。

B イギリスやアメリカは患者数が多いので、治験もしやすい。大阪の製薬会社が、感染症専門医の忽那賢志医師や岩田健太郎医師のいる大阪大学や神戸大学で治験をしないのも不思議でした。

A PCR検査を受けたい方ばかりではないんです。陽性患者には学校や仕事を休んでもらい、10日間の自宅療養をお願いする立場からすると、収入も大きく減少するわけで、本当に協力をお願いするだけに留まります。しかも保育園や幼稚園での検査を徹底的にすることで、お子さんが症状もないのに陽性となると14日以上、親御さんに自宅待機をお願いしなければならない。

C オミクロンの潜伏期間は2日、そして感染させる時期は発症する1〜2日前から発症後2日という海外の論文もあり、日本の外出禁止期間は科学的根拠に乏しい。デタラメですね。

─つまり他人に感染させる能力は、発症後2日間しかないかもしれない、と。

B この2年間で看護師が大量に辞めた上に、先ほど言ったように、手間のかかる入院患者が多い。患者の世話をする時間が長くなるので、感染しやすくなります。加えて、コロナ陽性や濃厚接触者になると、自宅待機期間が長い。さらに保育園の休園や学級閉鎖で大学病院の看護師が出勤できない事態になり、病院を機能不全にさせています。これを医療崩壊というなら、人災だと思います。

C 欧米では「人がいないので診察できません」と休診するところを、日本の病院にはそれも許されない。

A 不運にもお子さんたちのコロナ感染と学級閉鎖が重なり、6週間も欠勤が続く家庭もあります。休業補償はあるとしても、事業主が申請するものなので、申請を却下されると、コロナは治ったけれど住宅ローンを払い切れずマイホームを手放すことになったり、職を失って一家崩壊するケースが出てもおかしくありません。

C まぁ、政府の今後のコロナ対策を見てみましょう。根拠のない長すぎる待機期間によって職員が出勤できず、医療機関もインフラ企業も回らなくなる。そこで内閣支持率を低下させないために、これから自宅待機期間は短くなるでしょうし、入院日数も短くなります。もともと大したコロナ患者も重症患者もいない、ウソだらけの状況ですから。

*「週刊アサヒ芸能」2月24日号より

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