田中将大投手が4日、楽天生命パークで開催されたファン感謝祭に登場した。来季のチーム残留が正式発表された直後であり、地元仙台のファンは大歓迎だったが、日本時間の同日、海の向こう米ニューヨークではヤンキース帰還が叶わなかったことを嘆く報道が出された。
〈田中は日本に残る。メジャーリーグがロックアウト突入とのニュース直後だったのは偶然ではないだろう〉
地元紙「ニューヨーク・デイリーニュース」が伝えたもの。米球団の業務が停止するロックアウトも要因として挙げていたので、「交渉の時間がもっとあれば、ヤンキースへの復帰はかなった」とも解釈していたようだ。同紙はこうも伝えている。
〈スロースタートだったが、そこからⅤ字回復した〉
今季の田中は4勝9敗、防御率3.01。7月13日に勝利して以来、後半戦は10戦連続の勝ち星ナシで終わっている。日本の田中ファンは「こんな調子で終わるピッチャーではない。来季こそ!」と信じている。だが、米メディアが評したように「Ⅴ字回復」したとは言えず、後半戦で苦しんでいた田中を見てきた日本のファンからすると、首を傾げたくなる表現だ。
「勝ち星に恵まれなかったのは事実ですが、投球内容は少しずつ良くなっていると評価する関係者もいました。真っ直ぐの威力、スライダーやスプリットの軌道が田中のイメージ通りになってきたという意味です」(ベテラン記者)
日米の公式球の違いに苦しんだとの指摘も聞かれた。その通りだとすれば、田中は東京五輪メンバーにも選ばれている。五輪は同じ日本製でも別メーカーのボールを公式球としており、後半戦で苦しみ、登板数を重ねるごとに「良くなっていった」という勝ち星以外の評価にも合点がいく。
在米ライターはこう言う。
「今季のヤンキースはワイルドカードでプレーオフに進出しましたが、レッドソックスに敗れ、ワールドシリーズに進出できませんでした。一発勝負のワイルドカードゲームで先発を託したのは、今季16勝を上げたコール。そのコールが緊張感に飲まれ、3回3失点とKOされてしまった。ポストシーズン・マッチに強い田中が思い出されたのはそのせいでもあると思います」
今季後半戦、田中は変化球でストライクが取れない場面でも低めに集めるなどし、失点を最小限に抑えていた。米メディアはそんな投球テクニックや精神力の強さも評価していたのだろう。来年再び、メジャー復帰説が騒がれそうだ。
(スポーツライター・飯山満)