決戦は10月29日! OK対H2O「関西スーパー争奪戦」の仁義なき戦い

 客がセルフサービスで商品をレジまで運びんでレジでまとめて精算、安い商品を買い込むというスーパーの歴史は、1930年にアメリカで始まった。それから約四半世紀、1956年に福岡県北九州市の小倉に開業した「丸和フードサービスセンター」(現・丸和)が日本におけるスーパーの発祥とされている。すると同年には「西友」の前身となる「西武ストアー」が、翌57年には「ダイエー」も生まれて、日本でもスーパーという存在が日常のものとなってくる。

 その中、「関西スーパーマーケット」は1959年創業なので、まさに老舗。創業者の北野祐次(2013年没)は「日本のスーパーのモデルを作った男」とまで称されるほどだ。だが、いま関西では、この老舗スーパーを我が傘下に収めようとして大手スーパーが対決、「関西スーパー」争奪戦が繰り広げられている。

 最初に手を上げたのは阪急阪神百貨店を運営する持ち株会社の「エイチ・ツー・オー リテイリング」(大阪)=以下、H2O=だった。

「H2Oはイズミヤ、阪急オアシス、カナートといったスーパーの運営も行っているが、8月に兵庫や大阪を地盤とする関西スーパーとの経営統合を発表しました。関西スーパーを子会社化して統合すれば、仕入れや搬送を統一することが出来るので、両社にとってメリットとなるというのがその理由です」(経済ジャーナリスト)

 いわゆる業界再編の動きに出たわけだが、これが首都圏を地盤とするディスカウントストア「オーケーストア」を展開する「オーケー」(横浜)=以下、OK=刺激した。経営統合の動きが明らかになるや、関西スーパーへの株式公開買い付け(TOB)を行う意向を示したのだ。

 関西に連合軍が出来ればOKは関東のローカル企業に転落する。そうなったらいつまでもイオンやセブン&アイHDの後塵を拝したままいつかは呑み込まれてしまう。そうして「関西スーパー戦争」の火ぶたが切って落とされた。

 関西スーパーは9月24日になってH2Oへの傘下入りを希望する見解を示したので、こちらは友好的買収。そこにOKがTOBによる敵対的買収で割って入る。もうそうなると雌雄が決するまで争いは終わるはずもない。

 最終的な決着は、10月29日に行われる関西スーパーの臨時株主総会の場で決まる。株主の3分の2の了承が得られれば、H2Oへの傘下入りが可決されるからだ。だがこれをひっくり返したいOKも対抗手段に出る。

「10月11日に関西スーパーの株主に、H2Oの傘下に入ったら株主として『損をする』という手紙を一斉に送付したのです。これが可能なのも、実はOKは関西スーパーの第3位の大株主だからです。会社法の定めで、株主は株主名簿の閲覧や謄写ができますからね」(前出・ジャーナリスト)

 関西スーパーは老舗ではあるが店舗数は100に満たない。関西では「ライフ」(約280店舗)、「平和堂」(約150店舗)などもひしめき合っていて、さらに全国区の「イオン」が「ピーコックストア」(旧・大丸ピーコック)や地場の「光洋」を傘下に収めるなど、生き残りは容易ではない。ましてや、特にコロナ下ではアマゾンや楽天などのEC利用も日常に定着、コロナ後のリベンジ消費のことを考えれば、こちらとの競争も激化するのは明らかだ。

 関西スーパーの関係者にとって、10月29日はその動向を固唾を飲んで見守る日になりそうだ。

(猫間滋)

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