大谷翔平の”最終戦先発”に託される「快挙」以外の狙いとは?

 現地時間9月25日(日本時間26日)、エンゼルス・大谷翔平選手がマリナーズ戦に「2番・投手」として先発マウンドに上がったが、「2桁勝利&2桁本塁打」の快挙達成はできなかった。ベーブ・ルースが成し遂げた快挙に並ぶかどうか、全米が注目していた。エンゼルスの地元放送局だけではなく、全米中継のTV局も同日の試合を放送していたそうだ。

 快挙達成が先送りとなったため、新たな注目を集めたのが、大谷の次回登板日。米メディアは10月3日の今季最終戦を予想しているが、25日の試合後、エンゼルスのジョー・マドン監督が意味深な物言いをしていた。

「次回登板は3日? まだ話し合っていない。ペリーやショウヘイとも話し合ってから決める」

 これまでマドン監督は大谷と話し合いをしながら、登板日を決めてきた。通訳、投手コーチらがそれに同席することもあったが、「ペリー」の名前を挙げたのは、初めてだ。ペリーとは、ペリー・ミナシアンGMのことである。

「どの球団もそうですが、GMが現場に関与してくるのは珍しいこと。戦力補強はGM、采配・選手起用は監督。ミナシアンGMもマドン監督に全幅の信頼を寄せていたはずですが」(米国人ライター)

 信頼関係が揺らいだわけではない。登板日を決める話し合いにおいて、幅広く意見を求めるのが目的のようだが、「トップ同席」となれば、最終的な判断を下すのはマドン監督ではなく、ミナシアンGMとなるだろう。

 快挙達成の可能性は、ミナシアンGMの決断次第となる。

「記録のことを抜きにすれば、今季はもう登板させるべきではないかも。二刀流による体力面での負担も大きいので」(同前)

 二刀流とは、他選手の2倍の体力を消耗する。疲労が思わぬ故障につながることもあり、マドン監督が話し合って登板日を決めてきたのも「大谷を守ること」をいちばんに考えたからだ。キーマンとなるミナシアンGMの大谷評だが、

「多くの異なる方法で勝利に貢献してきた」

 と、二刀流の価値も認めてきたので、「マドン監督がためらってもゴーサインを出すのではないか」(同前)とも予想されている。

 米メディアは大谷の快挙達成がならなかったあと、チームとしてのエンゼルスの不甲斐なさを嘆くようになった。

 チーム低迷でガッカリする地元ファンのモヤモヤを払拭するためにも、やはり強行先発となりそうだ。試合終了後、大谷はヘトヘトになっているかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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