ヤンキースと張り合った「16歳の金の卵」が巨人入り

 8月14日夜、巨人と育成選手契約を交わしていたドミニカ共和国出身のフリアン・ティマ外野手とホセ・デラクルーズ内野手が来日した。隔離期間終了後、チームに合流する予定。このティマとデラクルーズが“覚醒”したら、メジャーリーグにも大きな衝撃を与えそうだ。

「19年11月、20年3月にドミニカ共和国でトライアウトを行い、それに合格したのがティマとデラクルーズでした。来日が大幅に遅れたのは新型コロナウイルス禍もありますが、2人の年齢も影響していました。2人は今年、日本の高校2年生の年齢になったばかりなんです」(ベテラン記者)

 中学生でプロテストに合格した逸材ということになる。2人は現地の私設アカデミーで野球を学んでいたとのことだが、それだけの逸材となれば、当然、メジャースカウトの目にも止まっていたはずだ。

「デラクルーズはショートの守備力も高く、ヤンキースが100万ドルの契約金を積み、口説いていたとの報道もありました」(米国人ライター)

 現地報道によれば、巨人が両選手に提示した契約金は50万ドル。もしそれが本当なら、育成外国人選手に対するNPB球団としては破格の大金だ。が、ヤンキースが用意したのは日本円で約1億円。フツーなら高い方を選ぶだろう。まして、世界最高峰のメジャーリーグで、なかでも最も人気の高いヤンキースだ。

「巨人は英語と日本語の講師をつけ、日本人選手とコミュニケーションが取れるまで教育すると聞いています。高校生と同じで人間成形の面でも指導していくようです」(前出・ベテラン記者)

 もっとも、メジャー傘下のルーキーリーグや育成プログラムには「南米出身選手に対する英語教育」も用意されており、巨人だけが特別ということはない。

「生活面や治安を含めた野球環境ではマイナーよりも日本のほうが整っています。数年前、メジャー球団が日本の独立リーグに若手育成の契約を持ち掛けたこともありました」(独立リーグ関係者)

 ティマとデラクルーズが順調に育ってくれれば、巨人としても大きなプラスになる。ソフトバンク・モイネロ、広島・フランスアなど、若い外国人選手を日本で育て上げた例は他球団にもある。巨人もメルセデスを育てた実績がある。しかし、今回はヤンキースと張り合って獲得した若手であり、成功したときのインパクトは相当なものになるだろう。

 2人が活躍したら、巨人の育成に警戒する声も米球界で聞かれそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ