ヤンキースタジアムは閑古鳥なのに…バンテリンドームが消化試合でも連日満員の立浪マジック

 とにかく圧倒的な得点力不足で、今シーズンも開幕からずっと最下位争いを展開している中日ドラゴンズ。ここまで24度の完封負けは球団ワーストタイ、残り4試合で新記録も射程圏にある。

 たとえ負けではなくとも、9月24日の阪神戦のように延長12回0−0では投手が浮かばれない。同試合を生中継したJスポーツに対しては、試合後に放送される予定だったラグビーワールドカップの中継がズレ込んだことで、「消化試合をいつまで放送してるんだ」という罵声がネット上で浴びせられていたとか。

 点が入らないことから「試合速報を確認する気も失せた」と酷評される立浪竜だが、本拠地のバンテリンドームは観客動員が絶好調という摩訶不思議なことが起きている。この現象を「ファンに感謝するべき」「来シーズンは期待に応えないと」などとポジティブにとらえるニュースもあるけれど…。

「ホームゲームの観客数が4年ぶりに200万人を超えて、球団は万々歳のはず。石川昂弥や根尾昂、高橋宏斗、岡林勇希ら若手選手の台頭が新規のファンを引き付けていると言われますが、名古屋には他に熱狂できるエンタメがないという事情もあるのでしょう。メディアも呑気なもので、消化試合の実況で『ビシエド選手も調子が上がってきました』なんて話していましたからね(笑)。ただし、古くからのファンは今の状況を苦々しく感じているようです。ラジオで試合を聞くことの多い名古屋のタクシーの運転手などは『もう野球はいいよ』『立浪ドラゴンズには期待してない』と、苦言ばかりでしたからね。スタジアムの中と外では相当、温度差がありますよ」(スポーツライター)

 一方、本場MLBから届いたのは、プレーオフ進出を逃したヤンキース戦のあまりにショッキングな光景。平日の代替開催とはいえ、あのヤンキースタジアムに100人もいるかどうか疑わしいガラガラのスタンドの様子が、専門メディアのX(旧Twitter)に投稿されたのだ。「それに引き換え中日は恵まれてすぎている」というわけである。

「アメリカはどのプロスポーツにおいても、地元の弱いチームへの態度はあからさまです。大差の試合は観客が途中でゾロゾロ帰ることも日常茶飯事。でも、それだから真剣にチーム改革をするし、何年も続けて最下位争いすることは稀なんです。ところが、いまのバンテリンドームは真逆の状況。なので、強いドラゴンズを求めるオールドファンなどは、チームを甘やかさないガラガラのヤンキーススタジアムに『これが本来あるべき姿』と、むしろ共感しているというのです」(前出・スポーツライター)

 2年連続最下位争いの立浪監督の続投には賛否があったが、それも何となくウヤムヤになっている。点の入らないチームを応援する忍耐強さには頭が下がるが、それがチームの改革に繋がらないのでは本末転倒のはず。

 立浪監督にとって来季は勝負の3年目。ファンが負け慣れしていると言われないよう、なんとか優勝争いに絡んほしいものだ。

(飯野さつき)

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