開幕直前で演出チームの辞任・解任が相次ぎ、お粗末続きの五輪組織委。世界のメディアは容赦なく日本の恥部を打電し、もはや隣国を笑えないほどである。
日本国民でも呆れる、スキャンダルだらけの東京五輪を海外メディアはどう伝えているのか。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が説明する。
「『呪われた五輪』として報じられ、19年に新国立競技場の工事中に187人分の遺骨が見つかったことを原因に挙げている。その場所には以前、寺の墓地があり、江戸時代に埋葬された人たちの骨とみられています。64年の東京五輪まで遡って、国立競技場は江戸幕府を開いた徳川家の土地であり呪われていると、特に根拠はないのに真面目に伝えている。それがオカルトサイトではなく、米国のメインストリームのメディア『Slate』が報じているので、信じる人は多いかもしれません」
不可避の呪いが原因ならば、まだ国民も納得したかもしれないが‥‥。
選手村の段ボール製ベッドも各国で注目されていた。きっかけは陸上の米国代表、ポール・チェリモ選手がツイッターで、
〈選手同士がいちゃつくのを防ぐ狙いだ。スポーツを超えたシチュエーションを避けるため、1人分の体重にしか耐えられない〉
とつぶやいたところ、米紙ニューヨーク・ポストが引用し「男女の営みをさせないベッド」と煽った。
「今や各国の選手の間で強度を確かめるため、ベッドの上で飛び跳ねる『段ボールチャレンジ』をSNSに投稿するのが流行る始末です」(スポーツライター)
一方、韓国メディアの「ウィキツリー」は、トライアスロンの行われる会場で「汚物の臭いがする」と批判。またもイチャモンかと思いきや、米国の「ブルームバーグ通信」でも報じられ、米人気サイト「AXIOS」などが同調しているという。
「トイレ臭いという話は米国でも話題で『誰が喜んで下水の中で泳ぐんだ』と、コメント欄が盛り上がっています」(前出・山田氏)
カヌーの会場となる東京湾では、英国の公共放送BBCが「大量のカキが波を消し去る装置に付着」と伝え、「市場価値は数百万円で(処分するには)もったいない」と報じることも。
コロナ禍で行動制限のかかる各国の取材陣にとって食事は唯一の楽しみになりそうだが、そのショボさが暴露されてしまった。
「フランス人の記者がツイッターで、MPC(メディア・プレス・センター)で購入できる食事を写真付きで紹介。ゴム肉のようなパサパサのハンバーガーで、しかも値段は1600円と高く、こんなのは食べ物じゃない、とフォロワーからもバカにされていた」(前出・スポーツライター)
今や「ここがヘンだよ」と各国から冷笑される東京五輪について、前出・山田氏は次のように警鐘を鳴らす。
「これまで海外メディアでは、日本語と英語がネイティブな記者や編集者が少なかったんです。ところが、今は記者の質が上がり、世界のどこにいても日本の情報が手に入るし、SNSで小ネタのような内容も世界中に拡散される。東京五輪で日本のよさを伝えるはずだったのに、完全に裏目に出てしまい、評判はガタ落ち。ビジネスパートナーとして敬遠する雰囲気すら漂っています。五輪関係者は世界が見ていることをもっと認識するべきでしょう」
もはや手遅れ、とは思いたくないのだが‥‥。
「週刊アサヒ芸能」8月5日号より