開催中の東京五輪で7月26日、ある大記録が29年ぶりに更新された。
とてつもない記録が誕生した舞台は、今大会から始まった新競技・スケートボード。同日行われた女子ストリートで、日本の西矢椛選手が金メダルを獲得。見事、同種目の金メダル第1号として歴史に名を刻んだが、驚くべきは彼女の年齢だ。
「西矢さんはまだ13歳11カ月で中学2年生。競泳の岩崎恭子選手が1992年のバルセロナ五輪・女子200m平泳ぎで築いた『日本人の五輪金メダル獲得の最年少記録』(14歳と6日)を更新したのです。岩崎選手の最年少記録は今後破られる可能性が低いと考えられていました。なぜなら現在の五輪は各競技で年齢制限が設けられており、東京五輪の場合は多くの競技で男子は2003年以前、女子は2005年以前の生まれに制限されています。ところが、スケートボードにはこの年齢制限が設けられていないので、西矢選手や、今回銀メダルを獲得したライッサ・レアウ選手のようなまだ13歳の選手でも実力があれば五輪に出場可能なのです」(スポーツライター)
西矢選手は金メダル決定直後のインタビューで、「うれしいです。途中までは勝てないと思ってたけど、周りの人が励ましてくれてうれしかったです」と素直に喜び、史上最年少記録については「最新記録だと思うんですよ。それがうれしいです」と笑顔を見せたが、西矢選手が放ったある“ワード”が、ネット上でトレンド入りする盛り上がりを見せた。
「競技中、銅メダルを獲得した16歳の中山楓奈選手と終始仲良く会話していたのですが、何を話していたのか聞かれた西矢選手は『ラスカルの話をしてました』と返答。そのため『ラスカル』がSNS上で大きな話題になったのです」(ネット系ライター)
「ラスカルって何だ?『あらいぐまラスカル』?」「西矢さんはあらいぐまラスカル世代じゃないでしょ(笑)」などと、1977年に放送されたアニメ作品「あらいぐまラスカル」(フジテレビ系)ではないのかと盛り上がる声、YouTuberの「大食いらすかる」を推す説、99年から03年にかけて重賞で活躍した競走馬・ラスカルスズカのことではないかという珍説、また、その後のインタビューで中山選手が「ラスカルの曲を聞いてるよって話です」と説明したため、イギリスのヒップホップ・アーティストであるディジー・ラスカルが有力ではという声も上がり、ネット上は「ラスカルって何のこと?」と大盛り上がり。
「ラスカルの真相」が明らかになったのは翌朝。西矢・中山両選手はは揃って各局の生番組に登場。ふたりが話していたラスカルとは、「あらいぐまラスカル」のオープニング曲である「ロックリバーへ」であることが明かされたのだ。
「中山さんは曲について『調べていたら出てきて、いいなーと思ったから聴いています』と説明し、こども・アニメ専門チャンネル『キッズステーション』で見ていると語ったのです。試合中は西矢選手が中山選手に、『ロックリバーへ』がどんな曲かなどと質問して過ごしていたようですね。五輪の舞台で13歳と16歳の女の子が40年以上前のアニソンを聞いてリラックスしていたとは、何とも微笑ましいですね」(前出・スポーツライター)
なお、「あらいぐまラスカル」のツイッター公式アカウントは26日午後4時過ぎに、ラスカルがスケートボードに乗っている可愛らしいイラストとともに「西矢選手、中山選手、スケートボード女子ストリートでのメダル獲得おめでとうございますミャ〜♪」と、祝福メッセージを発信。
「キッズステーション」公式ツイッターも27日午前に、ラスカル公式のツイートを引用する形で「中山選手、キッズステーションで見てくださっていてありがとうございます!!(嬉!!)」とツイートしている。
40年以上も昔のアニメの楽曲が、五輪の舞台で13歳と16歳の女子選手のメダル獲得を後押ししていたとは。アニメの力は素晴らしい。
(石見剣)