5月28日に放送されたトーク番組「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ系)で、ナインティナインの矢部浩之が親の借金について語り、話題になった。
実の父は矢部が芸人として成功したころ、窓口を母にして再三にわたって金を要求してきた。矢部は父親がした借金を、たった1人で完済。キレイさっぱりしたはずだったが、その後も父は要求。断ると逆ギレされて、勘当された。ところが、その1カ月後に両親は地元の大阪から矢部が住む東京のマンションまで夜中に車を走らせて、金の無心にやって来たという。
矢部ほどのトップ芸人が親から金を搾取されていたとはショッキングだが、似た経験をした同じ関西出身の吉本芸人は少なくない。2016年のM-1王者である銀シャリの鰻和弘も、父の借金で苦労した。
父は大のギャンブル好き。小学生の低学年から、大阪・八尾市の自宅に金融会社の取り立てが来ていた。母はパートに出ていたが、家計は常に火の車。6畳2間に両親と兄弟3人の”倉庫暮らし”。小4で両親が離婚し、借金取りからは解放されたが、困窮した生活は変わらなかった。
関西芸人は、自身の身に降りかかった貧乏をトークのネタにする。麒麟の田村裕の場合は、一家が離散して公園に住んだ実話を自著「ホームレス中学生」で発表して、2億円と噂される印税を手にした。それに負けず劣らずの住処だった芸人が、関西にはまだいる。
「アインシュタインの河井ゆずるは、大阪ミナミの繁華街にある雑居ビルの屋上のプレハブ小屋に家族で住んでいたそうです。ビルの空調管理の制御盤などがスペースを占めていて、お風呂に入るには1回外へ出ないといけない。”ポストやしきたかじん”ことメッセンジャーの黒田有は、1歳のときに築年数の古い木造アパートに家族で住んでいて、ネズミに耳をかじられています」(エンタメ誌記者)
河井の父は、幼いころに蒸発。黒田の父は、自身が産まれた直後に女性と借金を作って家を出ている。
実の父に翻弄された浪速の吉本芸人たち。赤貧をバネにのし上がり、今では芸人のギャラ一本で食えるようになった。彼らの成功例は、あまたの吉本芸人の目標になっているに違いない。
(北村ともこ)