若手の育成は難しいということか…。本拠地・マツダスタジアムで迎えた中日との3連戦(6月25日~)は1勝1敗1分け。「よく五分に持ち込めた」というのが、ネット裏の解説者、スコアラーたちの感想だ。鈴木誠也がワクチン接種の副反応で、スタメンに復帰できたのが第2戦。しかし、打線はつながらなかった。
「PCR検査の陽性反応者、濃厚接触者が出てベストメンバーを組めない時期もあり、今度は副反応です。主力メンバーが戻りつつありますが、チームの機運が高まりません」(ベテラン記者)
鈴木不在となった22日、佐々岡真司監督は高卒3年目の林晃汰を4番に抜てきした。6月の月間打率は3割6分(27日終了時点)。将来のチームを背負って立つ若手の一人だが、「もう一人の若手」はチーム事情にかき回されているようだ。林の次の5番を任された坂倉将吾である。
林が4番に抜てきされた日は捕手でスタメン出場しているが、26日以降は一塁手で起用された。登録は捕手だが、外野、三塁などの守備につくこともある。いわゆる便利屋というヤツではない。打撃力を買われての起用であり、確かにそこそこの打率は残しているが、「このレベルで終わる選手ではない」というのが、周囲の評価だ。
「他選手のとの兼ね合いで守備位置が異なっています。本人は捕手一本で勝負したいようですが。守備位置が異なれば、緊張感も異なります。それが打撃面にも影響を与えているのではないか」(同前)
若手の成長の遅延が低迷の一因かもしれない。というか、少し前の広島では、若手がスタメンのチャンスを掴むとそのままレギュラーまで掴むケースが多かった。たとえば、菊池涼介がそうである。東出輝裕(現二軍コーチ)が故障離脱し、その代役に抜てきされ、レギュラーになった。
しかし、近年は若手が台頭してもレギュラーを掴むまでには至っていない。ベテランの復帰後、また控え要員に戻ってしまう。若手にレギュラーを脅かす力がまだ養われていないのか、起用法に問題があるのか、改めて検証する必要もありそうだ。
「監督によって、複数のポジションが守れる野手を好むタイプもいれば、一つのポジションで固定したいと考える人もいます。佐々岡監督はその都度、ベストオーダーを組もうとします」(地元メディア)
このまま下位に低迷することになれば、来季以降を見据えた布陣に切り換えざるを得ない。そのとき、プロ3年目で4番を任せた林もそうだが、打撃センスの高い坂倉をどのポジションで育てていくのかを明確にしなければ、広島は長期低迷ということにもなりかねない。
(スポーツライター・飯山満)