UFOは安全保障上の脅威なのか?米情報機関が報告書を議会提出へ

 アメリカのCNNは16日に、アメリカの下院情報委員会で未確認飛行物体(UFO)に関する説明会が非公開で行われる予定であると、同委員会関係者から得られた証言として報じた。

「日本だったらコロナとオリンピックの開催の是非を巡って政府と分科会の“水面下”の意見の相違といった話題が喜ばれるんでしょうが、ワクチン接種が進んだアメリカではこうした委員会の“水面下”の動きまでが逐一報道されるほど、今、アメリカではUFOの話題で持ち切りです。というのも、6月中にも情報機関が保有しているUFOに関する機密をまとめた報告書が議会に提出される予定だからです」(週刊誌記者)

 実はこのUFO報告書の話、昨年末から提出期限に向けてカウントダウンに入っていた。というのも、トランプ氏が大統領任期中最後の大仕事として、昨年末に新型コロナウイルス追加経済対策法案に署名をした際、この予算案に含まれる21年度の情報機関の関連法として、「国家情報長官と国防長官は180日以内にUFOに関する報告書を議会の情報委員会に提出する必要がある」という条項が含まれていたからだ。昨年末から180日以内。つまり、おおよそこの6月いっぱいが期限というわけなのだ。

 だがそこに至るまでにももちろん経緯があって、

「17年にクリントンとブッシュ政権で国防総省の高官を務めた人物がUFOが映った動画をマスコミにリークするという動きがありました。理由は、アメリカでは07年から5年間にわたって『先端航空宇宙脅威特定計画』というものがあって、つまり未確認飛行物体としてのUFOが安全保障上の脅威に当たるか当たらないかという調査ですが、結局はUFOの正体を特定することができずにそのまま放置するしかなかった。だがUFOが存在すると国防総省側が認めていること自体は事実。そこでこの元高官が、少なくとも世間にその存在を知らしめる必要があると考えたからだとされています」(前出・記者)

 そしてこのリークにより事態が動き出す。20年4月には、国防総省がこのリークされたUFOの動画は本物だとして公開した。そしてさらにトランプ氏が公開に向けて署名を行ったという流れだ。

 だからこうしてアメリカでは報告書の提出を目前に控え、コロナ禍も落ち着いたとあってUFOブームが起こっているわけだが、今までは「UFOを見た」と言ってもなかなか人に信じてもらえなかったのが、周囲が聞く耳を持つようになったからか、この1年間でUFOの目撃情報が例年より1000件も増えたという。

 ちなみに国防総省はこのUFOを「未確認航空現象」(UAP)と呼んでいて、もちろん、即「UFO=地球外生命体の乗り物」と認めているわけではない。だが一方で、それを否定する材料も持ち合わせているわけではないので、報告書では「宇宙人の乗り物」という説を頭から否定するものとはならないと見られている。

(猫間滋)

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