〝100億円赤字〟報道のライザップの運命を握る「MAX」LINAの使命

 女性ダンスグループ「MAX」のLINAが、5月1日からパーソナルジム「ライザップ」の新CMに登場。約2カ月間で体重は6.5kg減、ウエストは9cm減、体脂肪率は5.9%落ち、見事なボディを披露。ぜい肉がきれいに落ちたLINAだが、ライザップグループ自体の業績もスルリと落ちたと、5月7日発売の「週刊現代」が報じた。

 記事によると、ライザップは5月15日の決算発表で100億円を超える赤字を報告するという。昨年11月に発表された、19年3月期の予想では、営業損益は33億円の赤字を見込んでいたが、その3倍ともなると、ただ事ではない。

「大幅赤字の要因はいくつかありますが、いわゆる〝負ののれん〟というものが大きいようです。同社はM&A(企業買収)を多用しています。通常、買収するときは、買収先の純資産(現金や不動産などの総資産から負債を差し引いた金額)を上回る価格で購入します。しかし、同社は買収先の純資産よりも安い価格で購入してきました。たとえば、純資産が30億円の企業を20億円で買収すると、10億円を利益として計上できます。この10億円が〝負ののれん〟と呼ばれるもの。倒産の可能性が高いなど、買収先の企業に大きな問題がある場合、負ののれんが起きやすく、それによって営業利益を上げることができる。ただ、負ののれんは安く買収できる代わりに、再建は難しいというデメリットがあります。買収先企業の構造改革がうまくいかなければ、赤字額は積み重なっていき、買収する側の経営も圧迫しかねません。ライザップは、その典型的な例だと考えられています」(経済誌ライター)

 ライザップは当面、新たなM&Aを凍結することをすでに発表。本業であるボディメイク事業を軸として立て直しを図るというが、そこでも落とし穴があると週刊誌記者は危惧する。

「ライザップのCMで起用した有名人の〝リバウンド〟です。2018年7月9日発売の『週刊ポスト』が、同社社長が有名人のリバウンド率は一般会員の7%よりも高いと認めたことを報じました。お笑いコンビ・キャイ〜ンの天野ひろゆき、経済評論家の森永卓郎氏、元プロボクサーでタレントの赤井英和などがリバウンドしたと見られています。広告塔である彼らのリバウンドはネット上などでも話題になっていますが、それが浸透してくれば、ライザップの営業にも今後悪影響を与えかねません」

 逆風の中、新CMに抜擢されたLINAの使命は大きそうだ。

(石田英明)

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